大企業製造業の設備投資状況について、日本政策投資銀行の「全国設備投資計画調査(大企業)」によると、資本金10億円以上の製造業大企業の2019年度国内設備投資計画は前年比13.5%増の7兆5079億円で6年連続で増加している。
自動車の電動化などモデルチェンジ対応投資に加え、化学や非鉄金属、電気機械などで自動車向けを含む電子・電池材料の投資が増加傾向にある。
海外への設備投資計画も10%増と拡大傾向。一般機械が大幅増、自動車も堅調に推移すると見ている。設備投資における海外比率はこれまでも4割超で推移しており、19年は41.9%となっている。
一方、中小製造業の設備投資状況も堅調だ。日本政策金融公庫総合研究所の「中小製造業設備投資動向調査結果」によると、中小製造業の国内設備投資額(修正計画)は、18年度実績に対して全17業種のうち9業種で増加し、3.4%増の2兆9043億円となった。
業種別では、非鉄金属(27%増)、輸送用機械(20.9%増)、業務用機械(20%増)、化学(17.9%増)などが大きく増加。社数・設備投資額ともに大きな食料品も8.3%増となっている。一方、生産用機械(16.4%減)、プラスチック(17.6%減)、印刷関連(17.9%減)などは減少となっている。内容別では、機械・装置向けは4.7%増の1兆6385億円、建物・構築物は7.3%増の8825億円となっている。
投資目的には「違い」
設備投資の目的について、大企業は「維持・補修」(25.8%)、「能力増強」(23.4%)、「新製品・製品高度化」(17.3%)、「合理化・省力化」(11.1%)となるなか、維持・補修、新製品・製品高度化、合理化・省力化が前年より上昇。老朽化設備のメンテナンスや人手不足対策といった直近の課題と、デジタル時代に合わせた新ビジネスやサービス創出に注力していることが分かる。
一方で中小製造業は、「維持・補修」(35.5%)、「能力増強」(31.5%)、「新製品生産・新規事業」(14.9%)、「省力化・合理化」(13.3%)となっているが、維持・補修、能力増強が前年より上昇し、省力化・合理化の割合が低下し、大企業とは異なる内容となっている。
20年度、再び不透明 コロナウイルスの影響必至
国内の旺盛な設備投資計画に期待のFA業界だが、足元では厳しい状況が続く。20年の回復予想についても、今度は中国で猛威を振るうコロナウイルスの影響で変わる可能性がある。国内では、人手不足や自動化需要は根強く、リスクを避けるための一部国内回帰の声もあり、先行きは不透明だ。