住友商事マシネックス
産機システム本部 PTCビジネス統括 東日本PTC部 部長 Cobotプロジェクト 高木正義 氏
中部PTC部 次長 Cobotプロジェクト 柴田昌弥 氏に聞く
人手不足が深刻化し、多くのものづくり企業が関心を寄せる協働ロボット。いま最も期待されている市場であり、世界中から多くの企業が参入してきている。
住友商事マシネックスは、2019年11月に協働ロボット・Doosan Robotics(ドゥーサンロボティクス)の国内総販売代理店として展開をスタート。同社で協働ロボット事業を主導する高木正義氏と柴田昌弥氏に話を聞いた。
Doosanと代理店契約ユーザー・メーカー双方の声生かす
—— 御社について
当社は、機械・電機・情報通信・建築設備分野を専門とする住友商事グループの機電総合商社。鉄鋼や非鉄、化学、食品、自動車、エレクトロニクス、建築など1500社超の取引先があり、優れた技術を世界中から発掘し提案を通じて日本の産業界の発展に貢献してきた。
2018年から中期経営計画「Challenge to Change」をスタートし、そのなかで「新規ビジネス領域の挑戦」をコンセプトの1つとして取り組んでいる。近年は単にモノを売り買いするだけではなく、サービスや仕組み、システムを提案するビジネスも増えてきている。
—— 協働ロボットの取り組みについて
以前から協働ロボットの販売代理店として顧客にロボット活用の提案を進めてきた。納入実績もあり、ノウハウも蓄積できたが、2次代理店としてのポジションだったため、当社がやりたいことができない状況だった。そこで今回、Doosan Roboticsと国内総販売代理店契約を結ぶこととなった。
—— Doosanとの出会いと、独占契約にこだわった理由について
スタートアップ企業も含めて国内外の多くのロボットメーカーと話をするなかで、住友商事がドゥーサンロボティクスの属する韓国財閥のDoosan(斗山、ドゥーサン)グループと取引があり、紹介されたのがきっかけ。Doosan Roboticsは、他社に負けない良い製品を作りたいという意欲が強く、独占販売もOKだったのでパートナー契約締結に至った。
ロボット事業は、単品販売で取り扱っていても伸びない。アプリケーションが重要な時代になっている。
そのため当社がユーザーとメーカーの間に立って両方の声を集め、ソフトウエアや周辺機器も含めてノウハウを学ぶことができ、さらに両方にフィードバックして改良していくサイクルが回る仕組みにしたかった。メーカーにとっていくつかある代理店のひとつという存在では、動きの早い市場に対応できない。ユーザーの情報をメーカーにつなぎ、メーカーの考えをユーザーに伝える。真ん中に居ることにこそ価値があり、それを行うために独占販売権にこだわった。
—— Doosan Roboticsについて
韓国財閥企業の斗山グループが2015年に設立した協働ロボット専業メーカー。18年から韓国国内と世界販売を開始し、現在は韓国国内では協働ロボットシェアトップ。現代自動車やLG電子、ポスコといった自動車や電子機器、半導体、産業機械の大手企業に採用されている。
世界でもヨーロッパ、中国、アメリカ等19カ国に販売代理店を設けている。ドイツでは数社のロボットシステムインテグレータと契約し、すでに100台以上の販売実績がある。
—— 製品の特長について
可搬重量6~15㎏、リーチ(アーム長)0.9mと1.7mの範囲で、可搬重量6㎏・リーチ0.9mの「M0609」、15㎏・0.9mの「M1509」、10㎏・1.3mの「M1013」、6㎏・1.7mの「M0617」の4機種をラインアップしている。
特長は、6軸全てにトルクセンサを搭載し、最小0.2Nの力を検知でき、敏感で安全性が非常に高い。セーフティーゾーンも細かく設定できる。協働ロボットは人と同じ作業領域で動くため安全性が重要となるが、その点はとても優れている。
また6㎏可搬で1.7mのリーチの長さを生かし、より広い作業領域をカバーできるほか、滑らかで敏感な動きができる力制御と順応制御により、繊細な作業にも適している。
ティーチング(動きの教示)についても、ペンダントは使いやすいと好評で、ダイレクトティーチングにも対応。ティーチングのしやすさにも自信がある。
迅速なサービス・サポート
—— サービス・サポートについて
メンテナンス・サービス会社、ロボットシステムインテグレータ(ロボットSI)と連携し、全国に対応できる体制は整っている。
またロボット本体の在庫はもちろんの事、製品自体の構造がユニットごとに部品を取り外せるようになっていて、不調や壊れたりしたら部品交換するだけで修理ができる。交換部品は当社が在庫を持っており、すぐに修理ができる体制を構築している。通常、協働ロボットは壊れたら本体ごと交換で、復旧までに時間がかかるが、そうした心配はない。
—— 昨年12月の国際ロボット展(IREX)で初披露した
ブースに多くの来場があり、説明員と話す姿も見受けられ、ものすごくいい反応をいただいた。デモ機は自由に触れるようにし、ティーチング、安全性、動きを体験できるようにした。ロボットをよく理解している人ほど関心を示し、これは使えると感じてもらえたようだ。
既に受注実績もできており、見積もりを出せるレベルの具体的な引き合いも数多く発生している。良い製品なので自信はあったが、想定以上にいい手応えを得た。
—— 今後について
協働ロボット市場はもっと爆発的に伸びるポテンシャルがあるが、まだ歩みが遅い。国内ロボットメーカーが本腰を入れて拡販をしはじめると、ライバルが増えるという恐れはあるが、市場という分母は大きくなってチャンスも増える。そこに負けないように差別化を図り提案を強化する。
今後はロボット単体ではなく、お客さまが使えるロボットシステムとしてソリューション提案を強化していきたい。そのためにはロボットSIや周辺機器メーカーとの連携が不可欠であり、パートナーとなるロボットSIを増やしていく。販売代理店も拡充し、販路と情報網を広げていく。