FAプロダクツは、ミライネクト、デジタルグリッド、日東工業、徳倉建設、坂田建設と共同で、デジタルなプラットフォーム上で発電者と需要家が電力の売買について直接取引を行うP2P電力取引実証プロジェクトをスタートする。民間企業同士が、自己託送供給ではなく、取引プラットフォーム上で電力取引を行うのは日本初となる。
再エネと電力ミックスの拡大とこれからの懸念
世界的にSDGs、脱炭素化の動きが強まり、再生可能エネルギーを中心とした複数の電力を並行して利用する電力ミックスが進んでいる。日本でもエネルギー供給構造高度化法で2030年までに再生可能エネルギー(再エネ)の比率を22〜24%まで高める目標が示され、その実現のためには最低でも700億kWhの再エネが必要とされている。RE100や再エネ証書の活用など民間企業における再エネの活用が進む一方、普及の柱であった固定価格買取制度(FIT)は買取価格が下がっており、現状はさらなる再エネ普及を後押しする要素が弱くなりつつある。
需要と供給を直接つなぐ新たな取引モデルへの挑戦
それに対しFAプロダクツは、ブロックチェーンを使ったP2P電力取引をベースに、新たな再生可能エネルギーの取引形態「デジタルエネルギーネットワーク」の確立に取り組んでいる。再生可能エネルギーの発電者と需要家がつながって直接電力を取引し、より低価格で柔軟な電力調達を通じて再エネの普及とエネルギーコストの低減を目指すもので、今回の実証実験はその取り組みの第一歩となる。
実証試験の概要
実証実験では、FAプロダクツが150kWの電力を供給する発電者となり、徳倉建設と坂田建設が電力を購入する需要家となる。デジタルグリッドが取引プラットフォームである「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を提供し、日東工業がデジタルグリッドコントローラを収納する盤の設計製造、キュービクルなど電源設備を担当する。サービスプロバイダ・電力販売はミライネクトが行う。
今回のプロジェクトは夏ごろに実際の発電所で実証試験を開始する予定。第一フェーズとしてDGPのシステム検証と課題の抽出、託送電力供給に関する送配電事業者との協議、接続実績のほか、環境価値取引の証明、サービスプロバイダの体制構築、関連製品の製作、改良を行い、以降はDGP上で複数の発電者・需要家間の取引の実証や蓄電システムを使った再エネ供給時間の延長などをはじめるとしている。