XTIA(旧社名:光コム)は、ニコンとJUKI、双日、INCJと光コム技術とそれをベースとしたインライン全数検査対応の非接触式三次元形状測定技術について業務提携を締結した。同時に各社を引受先とした第三者割当増資を実施して総額17億円(ニコン8億円、INCJ6億円、JUKI2億円、双日1億円)を調達し、光コム技術の産業応用を加速する。
目盛りのついたレーザー光が生み出す技術革新
光コム技術は、周波数の異なる光が等間隔に並んで1本のレーザー光を構成し、目盛りのついたレーザー光のようになっている。その様子が櫛(comb)に似ていることから光コムと呼ばれる。同社が世界で初めて産業応用に成功し、多くの特許を押さえている技術だ。特定の周波数の1本の光で構成される従来のレーザー光とはまったく異なり、これまでできなかったことが可能になるとされ、計測や医療、通信、建築などで技術革新が期待されている。
参考:XTIA(光コム)、同軸計測で複雑形状の全数・全自動検査を実現。3次元レーザー測定の限界突破
業務提携の内容
今回の業務提携では産業応用の分野拡大と普及がテーマとされ、各社の製品やサービスに光コム技術が採用される。
・XTIA ✕ JUKI
光学カメラ検査装置に光コム技術搭載したハイブリッド検査装置を開発
光コム製品の製造受託
・XTIA ✕ 双日
インライン全数検査装置を検査外注事業で採用
・XTIA ✕ ニコン
光コム技術を光加工機に活用
JUKIは光学カメラを使った外観検査装置に光コム技術を組み込んだハイブリッド検査装置を開発し、1年以内の製品化を目指す。光学カメラが得意とする異物やシミなどの画像検出と、光コムの高さ検出能力を活かしたバリや傷、見えにくい異物の発見を組み合わせることで、補完関係でこれまで以上に高い検出能力を備えた検査が可能になるとしている。
双日は、同社自動車本部が北米で展開している自動車メーカー・部品メーカー向けの品質検査業務の外注事業に、光コムのインライン全数検査装置を採用。さらに、そこで得た品質検査データとAIエンジンを活用し、データによる検査プラットフォーム事業も検討している。
ニコンは材料加工事業で光コム技術を活用した光加工機の開発を進めるとしている。
量産に向けてJUKIが製造を担当
また産業応用の拡大に向けて課題となっていた光コム製品の量産体制について、JUKIグループのJUKI産機テクノロジーが製造受託先となって量産を請け負うことが決定。信号処理や分波器、スキャナ、干渉計などのユニット製造を行うほか、量産や品質、コストダウンノウハウなどの提供を行うとしている。
・XTIA
ニコン、株式会社XTIAとの資本業務提携に関して
・INCJ、株式会社XTIA:世界初のインライン非接触三次元測定器を開発する株式会社XTIA(旧社名:株式会社光コム)への追加出資について
・双日、三次元形状測定大手の XTIA に出資
JUKI、株式会社XTIA(クティア)への出資及び技術提携のお知らせ ~JUKI(ジューキ)「外観検査機」における技術提携~