TDB20年度 業界天気図「コロナショック」業界痛手、厳しさ増す製造業

新型コロナウイルスが製造業を直撃している。踊り場感のあった19年に対し、20年以降は回復基調への反転が期待されていたが、厳しさが増した格好だ。

5G本格化には期待感も

帝国データバンク(TDB)の2020年度の業界天気図によると、100業界197分野のうち「晴れ」「薄日」など「晴天」の分野は75(前年度比+3)、「雨天」が51(+7)となった。天気が改善した業界は11(+2)、悪化したのが16(+2)。

改善・悪化を指数化したTDB業況インデックスでは、19年8月時点から0.6ポイント回復して48.7となると予想。総じて前向き傾向だが、製造業は40.3で19年の49.2から大幅に悪化している。

 

製造業の見通しは、全体的に厳しい状況だが、製造装置など生産財関係は底を打って回復の見通し。産業機械は「小雨」から「曇り」に上昇。設備投資の低下懸念も、5Gや東京五輪、環境事業の拡大など国内需要が好材料。工作機械も「小雨」から「曇り」に回復。前半の受注環境は厳しい見通しだが、5G本格化により中盤以降は半導体関連需要が増加する見込みだ。

その他主要産業では、自動車製造は「曇り」。国内生産・販売は微減、世界販売も減少し、CASE対応で費用増となるなど状況は厳しい。家電製造も「曇り」で横ばい。国内は買い替え需要があり、高付加価値製品を中心に堅調に推移する見通し。半導体製造は「曇り」から「薄日」に上昇。5G需要とIoT進展によって回復を期待。

材料・素材関連は、石油化学製品は「薄日」。高付加価値品シフトや工場基盤の強化などが進む模様。懸念材料は、中国経済や自動車関連市場の低迷。金属関連は、鉄鋼高炉と非鉄金属の銅亜鉛が「曇り」から「小雨」となるなど後退予想。米中貿易摩擦、中国経済の減速などが懸念されている。繊維製造・紡績が「曇り」。衣料品向けは増税の影響が懸念されるが、産業用は自動車向けに不透明感も、災害復興で土木・建築向けに期待感。

三品産業は好調のきざし。食品業界の加工食品調味料製造は「薄日」で堅調な推移を予想。海外向けの強化で伸長もあり得る。医薬品製造は「曇り」。世界市場は堅調も、国内は薬価のマイナス傾向続く。

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