生産委託先・外注先の品質改善指導③
先方の能力を確認してから実行
2.どこまで指導するか
取引先を指導する場合、いい品物を入れてもらうためには踏み込んで、入り込んでやることが必要だとは思いますが、どこまで踏み込むべきかはよく考える必要があります。
取引先の指導において、日系企業・日本人は「俺が指導して、この会社をよくしてやる」というような上から目線の傾向があるように感じています。実は、わたしも中国に赴任した当初はそのような驕った気持ちでやっていました。ところが、そのような気持ちで指導しても決してうまくいきません。
「会社全体をよくする」というのがどういうことかと言いますと、問題点を見つけるとその改善点を全社展開させる、全社にまたがる仕組みを変えようとしてしまうのです。
例えば、現場の作業指導書の記載方法におかしな点があったとします。その書き方はその会社ですべての作業指導書に共通しています。そのときに、すべての作業指導書を直すように要求してしまうのです。間違ってはいないと思いますが、これでは相手は膨大な作業量となるので尻込みしてしまいます。この場合などは自社向けだけを直すように要求すれば素直にやってくれると思います。
皆さんが中国企業の工場を監査すれば、50項目とか100項目とかたくさんの改善すべき項目を見つけることでしょう。それをすべて改善実施させるのか。これは先方の能力を見て決めるのがよいと思います。すべてに対応する能力があると思えば、すべての改善を要求してもよいでしょう。しかし、能力的に難しいと判断したら、例えば10項目程度に絞り、優先順位をつけて段階的に対応させることが現実的です。
どちらも相手にいかに対応してもらうかという視点です。
ただし、外注先にどこまで入り込むかは業種や業界によって違ってきます。一つの不具合が企業の存続をも左右するような医薬や食品業界であれば、とことん入り込んでやる必要があるでしょう。
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◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。