ガートナージャパンは、日本市場におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の推進状況の調査結果を発表した。
同社によると、RPAはここ2~3年高い関心を集めてきたが、ある特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を曲線で示すハイプ・サイクルにおいて、「過度な期待」のピーク期を抜け、幻滅期の底へ向かっているとした。
RPAを導入する企業の割合は年々増加を続け、19年8月には47.5%となった。主な作業内容は、社内システムからのデータの抽出、データの転記や二次加工などが中心だが、業務システムのデータ更新作業や社外向けシステムに関連する作業など、障害発生時に大きな影響を受ける業務へのRPAの適用はまだ検討段階という企業が多い。
各企業のRPAの推進体制は、「IT部門が取りまとめ、全社で推進体制を標準化」が67%、「各部署の判断で個別に対応」が21%、「ツールや研修は全社で標準化、推進は各部署が対応」が12%となった。これまでは、ユーザー部門が自部門の業務効率化を目的に検討し導入するケースが多いことから、RPA導入後、一定の成果を挙げた段階から全社的な拡大を志向する企業が増えていると考えられる。
開発体制についても「IT部門が開発」と答えた企業が57%と最も多く、「ユーザー部門」は23%、「ユーザー部門が外部委託」は20%となった。RPAの当初からの売り文句は「ユーザー部門自ら、業務自動化のためのシナリオ開発が可能なツール」だが、実際はユーザー部門以外がシナリオ開発を行う企業が約8割となっており、多くの企業にとって、ユーザー部門がRPAのシナリオ開発や、RPAを安定稼働させるために必要なノウハウやスキルの修得をするのは容易ではないと考えていることがわかった。