NECは、グループ会社のNECプラットフォームズの工場における生産の効率化に向けて量子コンピュータの適用技術であるシミュレーテッド・アニーリングマシンを活用したシステムを2020年3月に導入する。
近年、工場では多様化するニーズに素早く対応するために、マスカスタマイゼーションに対応できる生産方法にシフトしている。多品種で共有される生産設備のスループット最大化やリソース最適化のために、計画業務が複雑化し、計画立案が熟練作業者のスキルに依存する傾向にあり、将来のスキル継承も課題となっている。それに対し、同社は生産計画立案に量子コンピュータの適用技術を使って解決する。
具体的には表面実装装置を使った生産計画立案にシミュレーテッド・アニーリングマシンを使い、最も効率的で無駄のない製品製造プロセスを算出し、計画内容に反映させる。今回導入したシュミレーテッドアニーリングマシンはベクトル技術を活用。一般的に規模が大きくなりがちな最適化問題を的確に分割したり、分割した最適化問題を効率よく解いたり、最終的に現場の状況に調整したりする部分で、従来のアルゴリズムとアニーリング手法を複雑に組み合わせたアルゴリズムを新たに開発して実現した。
すでに同様の実証実験を19年9月~20年2月に行い、従来は熟練の作業者が数十分かけて決めていた生産計画と同等以上の計画を数秒で求めることに成功している。属人的だったスキルをシステム化し、人材不足やスキル継承などの課題解決に貢献する。