生産委託先・外注先の品質改善指導④
停滞させることなく、少しずつ前へ
3.改善指導
(1)短期的視点と長期的視点を持つ
外注の改善指導をするときには、この異なる2つの視点を持つことが必要だと言えます。
短期的視点は、今まさに問題となっている不良項目への対応をすること、および不良品の流出を止めることです。長期的視点は、工程での作り込みを促すこと、および改善のサイクルを回せるような仕組みを整備することです。
(2)短期的視点
この主眼は、今まさに問題となっている不良をなくすことです。なくすこととは、不良の発生をなくすこと、または、不良の流出を止めることです。
不良の発生をなくすには、原因を究明して適切な対策を確実に行うことです。外注先において、これらが実施されていることを確かめます。ただし、発生対策に時間がかかることも現実にはあります。そうした場合は、検査で確実に検出して不良品の流出を防ぐことを求めます。
不良の流出防止は、今発生している不良以外についての対策にもなります。中国工場においては、次から次へと新たな不良が発生します。それらが発生するたびに納入されてはたまりません。対策を実施しても、モグラたたき状態となってしまいます。
ですから、もし新たな不良が発生しても、外注先の検査で確実に検出して不良を外に出さないようにすることが重要です。中国工場では、中国企業も日系企業もここが不十分で、顧客に迷惑をかけているのが実状です。
「不良を外に出さない仕組み」作りの進め方は、第27回・28回・29回(本紙2019年7月10日、8月7日・21日付)の記事で書いていますので、そちらをご覧ください。
(3)長期的視点
長期的視点は、工程での作り込みを促すこと、および改善のサイクルを回せるような仕組みを整備することです。
この外注先と長く取引を続けるのであれば、育てるという長期的視点が必要です。このときに心しておかなくてはいけないのは、日系企業と同じようにはいかないということです。
大事なことは、改善に関して停滞させることなく、少しずつでよいので前に進めることです。1回1回は小さな歩みでも、長い目で見れば大きな歩みになると考えてください。
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◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。