富士経済は、製造業向けロボットの世界市場を調査し、2019年は1兆174億円で前年比9.8%減と発表した。
19年は米中貿易摩擦による設備投資の抑制やスマートフォン需要の停滞、半導体不況などにより市場は縮小。今後はスマートファクトリー化の進展、5G普及によるスマートフォンや半導体需要の高まり、次世代自動車や自動運転車の普及による生産ラインの刷新などによって市場は拡大するとみられ、25年は2兆2727億円で、19年比2.2倍まで拡大すると予測。
注目市場のヒト協調ロボットは、19年は590億円で前年比1.7%増に留まったが、25年には2653億円で19年比4.5倍に拡大する見込み。製品ラインアップの拡充、プログラムレス化によるユーザビリティの向上、リスクアセスメント対応、パッケージ化による低コスト化などにより市場は拡大が予想される。
また、AGVと組み合わせた自律的なロボットシステムや、AIやロボットビジョンシステムの活用によるさらに使いやすいロボットシステムにより、大手・中小の製造業、非製造業への導入も期待される。
IoTやAIに関するサービス市場は、スマートファクトリー化の流れを受けて拡大しており、19年は1552億円で前年比4.0%増、25年には5007億円で19年比3.2倍になると予測。現状は実証実験レベルの案件が多いが、今後本格導入が進み、装置の稼働監視だけでなく予知保全や外観検査を中心に、IoT・AI技術を組み込んだソリューションの展開が進むとみられる。