新型コロナで見えた人手作業リスク
自動化さらに加速
労働力不足と自動化は世界の潮流となっており、製造業におけるロボット活用は今後も拡大が見込まれている。富士経済の調査によると、2025年には現在の2.2倍となる2兆2727億円まで拡大すると見込まれている。
20年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によってブレーキがかかりそうだが、逆に人手作業のリスクが顕在化したことで、ロボット化・自動化が加速しそうだ。
19年の世界のロボット市場は、米中貿易摩擦の長期化による設備投資の抑制やスマートフォン需要の一服感、半導体不況によって成長は鈍化。前年比9.2%減の1兆174億円だった。
用途別の溶接・塗装系、アクチュエータ系、組立・搬送系、クリーン搬送系のいずれも前年割れとなったが、特に半導体向けのクリーン搬送系ロボットは25%減の大苦戦。
またロボット種別としてウエハ搬送ロボットも25%減。スマートフォン需要減によってスカラロボットも13%減となった。
25年までのロボット市場は右肩上がり成長と予測。20年に1兆1233億円、21年に1兆2574億円、22年1兆4281億円、23年1兆6448億円、24年1兆9178億円となり、25年には2兆円突破となる2兆2727億円になる見通し。
しかし調査当時、新型コロナウイルスの影響が考慮されておらず若干の修正が必要となるが、それでも市場としては明るいことに間違いはない。
成長の材料としてスマートファクトリー推進、5G普及によるスマートフォン需要、さらにIoTやビッグデータを背景とした半導体需要拡大とそこへの設備投資、自動車産業では電気自動車や自動運転車に向けた生産ライン新設と改修などがそろっている。また中国をはじめ新興国の人件費高騰、コロナウイルスによる人リスクの顕在化などもロボット普及を後押しする。
協働ロボットはこれから本格化
年々注目が集まり、人手作業の代替や支援策として期待される協働ロボットは、いままではPoC(概念実証)が中心だったが、その検証も終わってこれから本ラインへの導入が進むと見られている。
19年は590億円(1.7%増)だったが、25年には2653億円で約4.5倍に拡大すると予測。特に可搬重量10キロ以下の主要マーケットでファナック、三菱電機といった大手メーカーが新製品を投入してきており、すでに販売チャネルが整備されており、拡販が期待される。
またAGVと組み合わせた自走式のロボットアプリケーションも工場内物流でも検討が進んでいる。
ビジョンなどの周辺機器も拡大
またロボット作業の高度化に向けた周辺機器の成長も確実視されている。
ロボットの目となるマシンビジョンは、19年149億円から25年には305億円で市場規模は2倍になる見通し。安全機能を付与するセーフティーレーザースキャナは19年の43億円から25年には81億円へと成長。
AGVやAMR(モバイルロボット)が大きいが、協働ロボット導入時の安全対策としても使われるなど、ロボット台数の増加とともに市場は伸びる。