三菱電機は、AIによって、人が操作しているような自然な動作を機械が実現し、生産・物流現場での作業効率を向上させる「人と協調するAI」を開発した。
同技術は、同社のAI技術「Maisart(マイサート)」の1つである逆強化学習を活用しており、「道を譲る」などの人が行った協調動作の操作データを収集し、シミュレーター上で模倣学習することで、人が操作しているかのような自然な動作を実現する。
例えば、これまではAGVが前からやってきたフォークリフトを検出し停止した場合、フォークリフトは左折したいのに、AGVが停止したため邪魔で進めないなど、作業効率が低下する状況があったが、「人と協調するAI」をAGVに適用した場合、フォークリフトのために後退して道を譲るといった動作が可能となる。
また、従来の機械学習は教師となるデータを基に操作そのものを学習するため、大量の教師データが必要だったが、逆強化学習は、教師データを基に自ら最適な操作を推定・学習するため、従来と比較して10分の1以下と少ない運転操作データで学習が可能となった。
同社は今後、人と機械が混在する生産・物流現場でのAGVやロボットなどに同技術を適用して実証と実運用開発を進めるとともに、自動運転車などへの展開を目指すとしている。