島津製作所はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、大阪大学、ヤマザキマザックと共同で、銅を高速・精密にコーティングできるハイブリッド複合加工機を開発した。
開発した加工機は、200W高輝度青色半導体レーザーを3台装着した600W級マルチビーム加工ヘッドの搭載によって、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料への銅のコーティング速度が、従来に比べて6倍以上の向上を実現。
レーザー集光スポットにおけるパワー密度も6倍になったため、これまで困難だった銅の多層コーティングも可能となり、また、加工ヘッドを一回走査したコーティング領域の幅の最大値は、従来の400μmに対し、1000μmまで増大可能となった。加工ヘッドは、噴射する銅粉末材料を直接加熱することで母材表面の溶融を必要最小限とし、母材金属の混入が少なくゆがみの小さな精密コーティングが行える。
銅や銅合金は殺菌・抗菌作用があり、ウイルスに対しては不活化作用があるといわれていることから、今回の開発によって、人が接触する金属製の手すりやドアノブなどに銅をコーティングすることで、細菌・ウイルスによるリスクの低減や、航空・宇宙・電気自動車などの産業で必要とされる高精度な部品加工への活用も期待できる。