苦戦続くが中国に回復の兆し
世界的な自動化需要で拡大した制御機器、ロボットだが、2020年は年初から世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって苦戦が続く。日本電気制御機器工業会(NECA)と日本ロボット工業会(JARA)は4-6月の市場統計をまとめたが、いずれも前年同期比を下回った。
その一方で、最大の市場である中国だけは制御機器とロボットともに前年を上回り、回復の兆しが見えてきた。しかし米中関係が悪化しており、まだ慎重に見る必要がある。
制御機器出荷は5大品目前年下回る
NECAは、2020年度第1四半期(4-6月)の制御機器の出荷統計をまとめた。出荷金額は、前年同期から110億円減少して7%減の1473億4000万円となった。国内出荷額は10%減の860億900万円。輸出額は2.3%減の613億2700万円となった。
品目別の5大品目(操作用スイッチ、検出用スイッチ、制御用リレー、PLC/FA、制御用専用機器)のすべてで前年を下回った。
品目別では、PLC/FAは4.6%減の545億3100万円で9期連続、制御用リレーは10.5%減の331億8800万円で6期連続、制御用専用機器は10.9%減の258億6800万円で3期連続、検出用スイッチは3.1%減の244億3400万円で7期連続、操作用スイッチは5.8%減の93億1500万円で9期連続の100%割れとなった。
仕向地別では、中国は7.6%増の149億6300万円、中国を含むアジア・太平洋地域も2.4%増の393億7300万円と前年同期比を上回った。ヨーロッパは7.9%減の120億9800万円、北米は10%減の95億6900万円だった。
ロボットは国内低調も輸出堅調
JARAの「ロボット統計受注・生産・出荷実績2020年4〜6月期」によると、20年4-6月は、受注額が前年同期比9.9%減となる1599億円、受注台数は3.4%減の4万4817台となり、受注額は米中貿易摩擦等による大幅な需要減少となった前年同期を、さらに下回ることとなった。
生産額は3.0%増の1581億円、生産台数も3.1%増4万3269台、出荷額は0.4%増の1587億円、出荷台数は4万4288台だった。
仕向地別では、国内出荷台数は24.5%減の7407台で、金額は22%減の345億8400万円。昨年末からの景気停滞と消費税率引き上げ、新型コロナウイルス感染拡大の影響が響き、自動車製造業、電気機械製造業中心に主要業種で減少した。
輸出は、台数は12.7%増の3万6881台 金額は9.2%増の1241億3000万円と前年をクリアした。用途・国ごとに強弱が混在し、実装用は欧米向けが減少するなか、中国向けや台湾向けなどが大きく増加。溶接用は中国を除くアジア、欧州向け中心に減少したが、9四半期ぶりに同用途向け輸出額が増加に転じた。半導体用は昨年末からの堅調さが継続している。