儲かるメーカー 改善の急所 101項 (2)

■急所2
基本の大切さ

基本中の基本を徹底せよ

 

勉強でもスポーツでもそしてもちろん仕事でも、もしあなたが「基本は大切だと思いますか?」と聞かれたら皆さんYESと答えるのではないかと思います。

しかし次に、「あなたはその基本をしっかりと教わったことがあって、その上で基本をきちんと守っていますか?」と聞かれたらいかがでしょうか? YESと答えてくださる方はグンと減る気がします。

 

Kさんは家具メーカーA社で働くベテランです。Kさんの隣には若い社員のYさんがいて、同じ仕事をしています。

お二人の仕事ぶりを見ているとベテランのKさんと若いYさんとの間にはずいぶんと違いがあるのです。Kさんの動きは決して速く見えませんが、余分な動きが少なく、また作業間違いなどをしないので仕事が着実に進みます。

一方のYさんは、なぜか余分な動きが多いように見えるのです。例えば工具や部品の置き方が決まっていないので、その度にどこにあるかを探しているようです。あるいはネジを締めたり釘を打ったりという作業ですが、時々仕損じがあり、やり直しをするのです。結果的に慌ててしまい、むしろ手足の動きはKさんより速くみえるときもあります。しかし同じ製品を組み立てているのですが、記録を見ると出来高はKさんの方が3割くらい多いのです。

 

何が違うのでしょうか? もちろん年季が違うといえばそうなのですが、それより前にYさんは基本ができていないことが一番の問題なのです。必要な工具が近くにない時は立ち上がって工具を取ります。また工具を材料に対して直角に当てていないので、きちんと締まらずやり直す。こういうことをしばしば繰り返していたのです。どうも教わっていないようです。

私はKさんにそれらの基本をYさんに教えてあげるようお願いしました。Kさんはそんなことあらためて教えることかなあ…と言いながら工具を近くに取りやすく整頓して置くことや、工具の持ち方とその時の姿勢をYさんに教えてあげました。

すると、どうなったか?? その日からYさんの生産量は2割向上したのです。仕事をきちんと教わっておらず、見よう見まねで作業をしていては絶対に仕事はうまくなりません。

そういう人が職場にいたら困るしかわいそうです。そういうことがないようにしっかりと現場を見てください。よろしくお願いします。

 

日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

 

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
■詳細・入会はこちら
https://www.kaizenproject.jp/

オートメーション新聞は、1976年の発行開始以来、45年超にわたって製造業界で働く人々を応援してきたものづくり業界専門メディアです。工場や製造現場、生産設備におけるFAや自動化、ロボットや制御技術・製品のトピックスを中心に、IoTやスマートファクトリー、製造業DX等に関する情報を発信しています。新聞とPDF電子版は月3回の発行、WEBとTwitterは随時更新しています。

購読料は、法人企業向けは年間3万円(税抜)、個人向けは年間6000円(税抜)。個人プランの場合、月額500円で定期的に業界の情報を手に入れることができます。ぜひご検討ください。

オートメーション新聞/ものづくり.jp Twitterでは、最新ニュースのほか、展示会レポートや日々の取材こぼれ話などをお届けしています
>FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

オートメーション新聞は、45年以上の歴史を持つ製造業・ものづくり業界の専門メディアです。製造業DXやデジタル化、FA・自動化、スマートファクトリーに向けた動きなど、製造業各社と市場の動きをお伝えします。年間購読は、個人向けプラン6600円、法人向けプラン3万3000円

CTR IMG