タナベ経営は、全国の企業経営者・役員・管理職・監査職・一般社員を対象に「新型コロナウイルスの企業経営に与える影響に関する調査」の結果を発表し、全体の95%の企業がマイナスインパクトのリスクを抱え、37%の企業が「テレワーク体制ができていない」。たとえ活用していても62%が「コミュニケーション不足(格差)」に課題を感じ、アフターコロナのデジタル戦略は「デジタルマーケティングの強化」が最重要としている。
「全面的かつ直接的にマイナス影響を受けている(32%)」「部分的かつ直接的にマイナス影響を受けている(37%)」と、全体の約7割がマイナスの影響を直接受けていると回答。
「直接的な影響はないが、今後マイナス影響が出るリスクをはらんでいる(26%)」までを含めると、回答企業全体の95%が業績面でのマイナスインパクトのリスクを抱えているとした。
「テレワーク体制があまり徹底できていない」23%
「テレワーク体制を敷いている」とした回答は全体の63%にのぼったが、「テレワーク体制は敷いているがあまり徹底できていない」とした回答も全体の23%を占めている。求められる働き方にテレワークが追い付いていない企業も一定数存在している。
また、「デジタルツールを活用し、コミュニケーション不足はない」と回答した割合は全体の17%にとどまった。「活用はしているが、コミュニケーション不足(格差)」が全体の62%を占め、ツールは導入したものの、必要なコミュニケーションにはいまだストレスを抱える。
今後の戦略は「デジタルマーケティングの強化」
デジタル戦略面では、「デジタルマーケティングの強化(37%)」が最も回答数が多く、今後、営業のデジタルシフトを推進していく企業が増えると予想。「コミュニケーションツールの活用(21%)」、「デジタル人財の採用・育成(16%)」、「AI・RPAの導入による業務改善(16%)」と続き、デジタルツールを用いたコミュニケーション施策への投資は、ここにきて企業の重要テーマの位置づけとなっている。
ニューノーマルを機会と捉え価値観のスクラップ&ビルドを
調査結果を受け、同社執行役員戦略総合研究所奥村格副本部長は、「コロナショックは皮肉にも企業のデジタル化のスピードを一気に引き上げ、Web会議がニューノーマルになり、テレワークに足踏みをしていた企業も切り替えを進められている。アフターコロナの経営戦略は、社内の管理体制や生産性向上を中心とする“守り”と、営業やマーケティングの見直しを中心とする“攻め”の二つに分けられ、両方の戦略に共通する手段としてデジタル活用があり、アフターコロナの環境下でデジタルトランスフォーメーションへの投資が加速する。大事なことは、リターンを獲得するために、従来の価値観を転換することもいとわない、組織としての価値観の転換を断行すること。従来のビジネスモデルやマネジメントが通用しないと考えている意見が多い半面、到来するであろうニューノーマルな時代を“機会”と捉え、中期ビジョンの再構築や体制づくり等の新しい取り組みに前向きな姿勢がとられている。経営を止めない、経済を止めない。持続可能なビジネスモデルを再確立するために、価値観のスクラップ&ビルドに果敢にチャレンジしていこう」としている。