■急所5
動作経済の四原則
その③ 両手
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動作の数を減らす
今回は動作経済の四原則その③「動作の数を減らす」についてお話しします。
動作経済の4原則の3番目です。これまでは「距離を短くする」すなわち「近くに置く」、そして「両手を同時に使う」すなわち「すべての手や機械が同時に付加価値を生むようにする」という比較的分かりやすい内容でした。
今回は「動作の数を減らす」ということですが、そもそも動作って数えられるの? というところから分かりにくいかもしれませんね。
動作は数えられます。ペン立てに挿してあるペンを取って、持ち替えないでそのまま書き始めることができれば書き始めるための動作は一動作です。しかしペンを取って、キャップを外して、ペンを持ち替えたら三動作ということになりますね。
そして動作はそのような見える動きだけでなく、「音がうるさいので気になる」とか、「危ないので気を付ける」も動作です。そしてもちろん「モノが散らかって置いてあるので、それを取る前に探す」というのも動作です。
今回の原則その三は、そのような付加価値を生まない動作を改善することであり、できるならばやらずに済むようにすることを目指していただきたいと思います。しなくていい動作は動作改善をするのではなく、なくすべきですよね。そして不要な動作をなくして、付加価値が付く動作のみで作業を構成するのです。
ただ、一生懸命作業をしている本人が一番ここに気付きにくいのです。そこでみんなでお互いの仕事を観察し合ってなくせる動作を見つけ合って、このカイゼンをするのがいいと思っています。頑張ってたくさんの意味のない動作をなくしてくださいね。
日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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