堀江車輌電装は、技術承継と人手不足への対策として、車両整備の作業工程をデジタル化した「デジタルマニュアル」を作成し、活用開始した。
同社は、首都圏の私鉄各社の鉄道車両整備と点検を請け負う事業を展開しており、業務の多くが熟練の技術者によって支えられてきた。若年層の人手不足により技術承継と人材の確保が喫緊の課題となっており、今回、マニュアルのデジタル化とホロレンズを使った作業工程の効率化に取り組んだ。
デジタルマニュアル化したのは、ユニットブレーキの分解・洗浄・組み立てに関する127の作業工程。それまでの紙のマニュアルでは、作成当時と今の状況や作業内容・手順が変わっている、熟練技術者から口頭で伝達されていた作業ややり方のコツなどが記載されていない、現場で紙をめくりにくいなどの課題があった。
それに対しデジタルマニュアル化したことで、教育担当者が現場を離れられないとき新人ひとりでも作業内容を学ぶことができる、作業工程の一部分だけを復習できて効率よく覚えられる、何度も繰り返し確認できて技術の習得が早い、工場以外の場所でも研修できるなどの効果があった。
またホロレンズを使うことで、作業場所に固定して作業をしながら、工具と手順を学べる、部品の向きなども文字で補足されていてわかりやすい、現場の空間に画面を固定したり、工場内を動き回る際に画面も一緒に動したりできるなどができるようになった。技術の承継を的確に行えるようになり車両整備技術の精度を維持・向上できたほか、社員教育への活用で、若年層の人材に対して技術職への興味を持たせるきっかけを創出することができたという。
今後は他の整備内容についても、今後3年をめどに順次デジタルマニュアル化を推進していく予定としている。使用する機器もホロレンズだけでなく、iPadやスマートグラスなども検討していく。