■急所6
動作経済の四原則
その④ 負担
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楽にする
今回は動作経済の四原則その④「楽にする」についてお話しします。
動作経済の4原則の4番目、最後です。これまでは「距離を短くする」して、「両手を同時に使う」ようにして、それから「動作の数を減らす」ことの3つのカイゼンを実行して来ました。この3つの内容をカバーすれば動作はかなり理想状態に近づいているはずです。モノを近くに取りやすく置いて、手を左右対称で同時に使えるようにして、余計な動作の数を減らしたので当然ですが作業者は楽になるはずです。
しかしここで安心してしまい、「この作業を実行してくだされば必ず楽で生産性が上がりますのであとはよろしく!」のような丸投げをしてはいけません。必ずこの作業を実行してもらい、その結果をみんなで観察して4番目の原則である「楽にする」が実現できているかどうかを確認する必要があります。
実際にやってみてもらうと、作業台の高さが作業者の身長に合っていないので姿勢が悪くなるとか、部品の置き方が良くなくて両手で取るのが難しいといった問題点が目の前に現れます。そこで分かった問題をみんなでワイワイガヤガヤと話し合って、その場でカイゼンが実行されるといいですね。
現場・現物でみんなで話し合うと、一人ではとても思いつかなかったアイデアや普段の様子からは想像できない協力関係が生まれます。
ここで読者の皆さまにお願いがあります。この動作経済の4原則を暗記していただきたいと思います。ノートに書いておいて必要の都度見るというのではダメです。現場の作業に限らずあらゆる人とモノの動きにはムダがあります。そこでこの4原則を暗記しておくと、現場で「動き」を見ると常に4原則に合っていないムダな動き、間違った動きが次々見えてくるようになるのです。頭の中に4原則のチェックリストを構築していただきたいと思っています。
楽なのに、すごい生産性向上、すごい品質向上が起きる動作経済の4原則のカイゼンをみんなで実行してください。よろしくお願いいたします。
日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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https://www.kaizenproject.jp/