情報活用方法の底上げ急務
製造業企業に限ると、どこまでデジタル化が進んでいるか? 日本能率協会コンサルティング(JMAC)は、自社の情報化とそれを管理するマネジメントレベルの観点からデジタル化の進捗状況を調査した。
情報を集めて保管する仕組みには取り組めているが、それをどう活用していくかのマネジメントに課題が残るという結果が出た。
情報化レベルについて、「情報の収集と保存」はExcel等のツールで特定の項目を加工できるファイル形式で保存している企業が51%と最も多く、メモや日報など手書きの企業は27%。データベース化して分析や連携できる状態になっている企業は15%だった。
「情報の共有範囲」は、同一拠点内の自部門・他部門までは情報共有できている企業が7割強となり、複数拠点やサプライチェーン全体での情報共有はまだこれから。
マネジメントレベルについて「情報を活用したPDCA成熟レベル」は、問題発生時にデータを分析している企業が55%と最も多く、定型的な可視化と分析で継続的な改善に使っているが33%となった。複数のデータを結びつけて柔軟に使っている、将来予測等はごく一部にとどまっている。
「KPIの集計・管理」は、定型的なKPIを手動で算出している企業が51%、問題発生時に手動で数値化する企業が26%で、自動化や柔軟な運用までは至っていない。
「情報を使った負荷計画やリソース配分、その統制」は、一元的な統制と状況に応じた柔軟な運用はこれから。非連動で個々のレベルで行われているのが実情だ。
結果を受けて同社は「情報化レベルに比べてマネジメントレベルは未成熟であると見受けられる。ツールやシステム導入が進んでいる一方、高度な情報を生かしたマネジメント変革まで至っていない実態が推察される」とし、目指すべきPDCAに合わせたKPI管理と、それを行うためのデジタル人材の育成・確保が必要であるとした。
具体的な人材とは、DXに向けたテーマ・課題を設定する「デジタルマネジャー」、それを要件定義しツール選定を行う「デジタルビルダー」、現場でのデータ活用で運用し、社内への普及・浸透を図る「デジタルトレーナー」の3人材が重要だとした。