〜再び起こりうる世界的な混乱を見据えた、
将来へ持続可能なビジネスの構築について解説〜
Pegasystems 最高技術責任
Don Schuerman
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延は、グローバル規模での壊滅的健康被害をもたらしました。この数カ月の間にビジネスの意思決定者を取り巻く環境は劇的に変化しています。事業は中断を余儀なくされ、人々は仕事を失い、株式市場は急落しました。現在、多くのビジネスリーダーが「COVID-19以降」の世界で今後直面する課題ついて予測・検証しています。
ビジネスリーダーたちは、この大きな変化によって、デジタルトランスフォーメーション(DX)がもはや「良いもの」ではなく、「不可欠なこと」であることに気付くに至っています。DXの推進なくしては、顧客との関係を永久的に毀損するリスクを背負うこととなります。
かつて棚上げにしたDXプロジェクトを、この世界的な危機を契機に、パンデミック後の未来のためだけでなく、日々の新しいビジネスオペレーションの推進力として活用しようとしています。
最近の調査によると、世界のビジネス意思決定者の91%が、パンデミックの経験を経て、危機後の世界で生き残るためには変革しなければならないことを認めています。
調査回答者のほぼ4分の3(74%)は、現在の危機によりビジネスオペレーションとITシステムのギャップが予想以上に大きくなると回答する一方で、危機発生期間において既存のシステムにギャップがなかったと回答したのはわずか6%でした。
これは、「後の祭り」の典型のように見えるかもしれませんが、将来再び起こりうる破壊的な混乱から企業・組織を守ることが不可欠であることを示唆しています。
調査回答者のほぼ3分の2(62%)は、企業・組織内のデジタルトランスフォーメーションの優先度を上げる計画であり、58%が既存のDXプロジェクトを加速させ、56%がDXプロジェクトへの投資の全体的なレベルを上げ、この危機がDX計画にもたらした影響を強調しています。
パンデミック発生において企業・組織が最も苦しんだ問題の1つは、顧客との効果的なコミュニケーションです。前例のない状況では、いくつかの有名な企業が広告キャンペーンからの撤退を余儀なくされるなど、何を言うべきか、そして何を言わないべきか、を判断することが難しい場合があります。
危機的状況下での顧客に対するコミュニケーションにズレがあると、顧客からの信頼を失い、永久的なダメージとなる可能性があります。最悪の状況下にある企業を評価するべきではありませんが、残念ながら、それはまさに顧客がここ数カ月行ってきたことです。ほとんどの企業・組織はCOVID-19危機に備えていませんでしたが、同じことが顧客にも当てはまります。
顧客は、明確、簡潔、関連性のある適切な情報が提供されないことで大きなストレスを感じており、舞台裏でどんな困難が起こっていても、企業・組織を厳しく評価します。
コミュニケーションを誤ると、短期的にだけでなく、長期間にわたって顧客との信頼関係を毀損する可能性があります。
調査回答者の3分の1以上(36%)は、コミュニケーションの失敗によりパンデミック中に顧客を失ったと答えていますが、37%は、顧客に対して送ったメッセージの内、少なくとも1つが非好意的に受け取られ、これによって企業ブランドが毀損されたことを認めています。また、回答者の半数以上(54%)は、危機の際に適切な顧客対応をするためにより多くのことをすべきだったことを認めています。
DXプロジェクトは、コミュニケーション、コラボレーション、および予測分析を簡素化する目的で設計されており、企業・組織が顧客に共感し、有用な情報の提供を通じて効果的にコミュニケーションできるよう支援します。
ビジネスリーダーは、将来の危機に備えるために必要な最も人気のあるDXプロジェクトが、クラウドベースのシステム(48%)、CRM(41%)、およびAIベースの分析と意思決定機能(37%)であると指摘しました。
今日、多くの企業・組織は、世界的な危機がもたらした課題に対処しようとしています。言い換えると、手遅れになるまで予防措置を講じることをしなかったことを意味しています。
企業・組織のリーダーは、今後数年間で同様のシナリオに直面しないようにするために、特定のアクションがもたらす即時の効果だけでなく、リスクの軽減、顧客の保護、将来のブランドの保護についても考えることが重要です。
世界中の人々がストレスを感じる危機に直面しましたが、万能薬はありません。学ばなければならない教訓は、このパンデミックが引き起こした失敗、困難、そして本当の課題を受け入れること、そしてこの経験をチャンスとして位置付けることです。
多くのビジネスリーダーは、今回のような恐ろしい「最悪のシナリオ」が発生する日がくることなど夢にも思っていなかったでしょう。しかし、それが起こった今、これを契機に、将来発生しうる同様の破壊的危機に対して準備する必要性を理解しなければなりません。