新製品の発表や実証実験の開始などサービスロボットの勢いが増している。
もともと2020年東京オリンピックに合わせて、サービスロボットの社会実装に向けた取り組みが進んでいたというタイミングもあるが、コロナ禍で人との接触や蜜を避けるためにロボット活用に光が当たり、そのあたりも追い風になっているようだ。
富士経済の調査によると、世界市場におけるサービスロボット市場は、2025年に4兆6569億円に達し、2019年の約2.3倍まで伸長する。特に荷物の取扱量の増加と人手不足に大きな課題を抱えている物流・搬送用は5.1倍の8339億円になるという。
注目なのが、受付案内や警備、清掃等を行うオフィス・店舗用。19年時点では85億円にとどまっているが、25年には3.3倍の277億円に拡大すると予想されている。特に新型コロナウイルスの感染拡大によって顧客と従業員の安全を守り、かつ人手不足の解消に向けて、店舗や大型商業施設等でロボットによる自動化検討とテスト導入が広がり始めている。
例えばソフトバンクロボティクスが取り扱っている掃除ロボット「Whiz」は、高輪ゲートウェイ駅など全国ですでに5000台が稼働中。ホテル業界でも尼崎セントラルホテルが新型コロナウイルス感染拡大防止を目的として館内清掃に導入するなど広がっている。
また同社製の配膳ロボット「Servi」はデニーズや焼肉キング等の外食産業で実証実験を行い好評を得て、21年1月から発売を予定している。ラーメン店チェーンの幸楽苑でも8月27日から自動配膳ロボット「K-1 号」を導入して実証実験を開始している。THKをはじめ、移動型ロボットへの参入企業も増えてきて、この分野は盛り上がってきた。
ただ懸念されるのがロボットシステムインテグレータ(SI)の未整備。これまでの実証実験ではメーカーが自ら導入を行ったが、より販売と導入を広げ、確実に運用をしていくにはSIとサービスの力が必要だ。
産業用ロボットですらSIが不足しているというのに、さらにサービスロボットも加わるとなると頭の痛い話だが、ロボット大国、ロボット活用先進国になるには避けては通れない道だ。
サービスロボットの将来市場は産業用ロボットよりも格段に大きい。ここにはビジネスチャンスが眠っている。