富士電機は、鉄道市場向けに、電力損失を低減し省エネを実現する大容量IGBTモジュール「HPnC」を開発し、量産を開始した。電気鉄道向けの市場は、今後年平均6%で成長し、2023年には500〜600億円規模に伸長すると同社では見ており、今後、新製品をグローバルに展開するとしている。
新製品は、業界最高クラスという低損失性能を持つ最新の第7世代IGBT素子を搭載。パッケージの構造を最適化し、高速スイッチングの妨げとなる内部インダクタンスを従来比76%低減している。同製品を搭載したインバータは、従来品に比べて動作時の電力損失が約8.6%低減。さらに発熱を抑制し、19%の小型化、13%の軽量化を実現した。
モジュールのベース基板を、熱伝導に優れたマグネシウムと炭化ケイ素の複合材料に変更し、放熱性を向上させて温度変化を抑制。絶縁基板と端子はこれまではんだで接合していたが、超音波接合することで製品故障率を低減させている。
また、回路を構成する際、従来品は3種のブスバーが重なり合い、パワー半導体の並列接続使用時には配線構成が複雑になっていたが、新製品は3種のブスバーを同一方向に統一して配置できることから、パワー半導体の並列接続が容易となり、さまざまなインバータの組立性向上に貢献する。