グローバルインフォメーションが取り扱うResearchInChinaの市場調査レポート「産業用ロボット減速機業界の世界市場・中国市場:2020年~2026年」によると、産業用ロボット向け減速機は、ナブテスコとハーモニック・ドライブシステムズ、住友重機械工業などが世界市場で大きなシェアを占めていることが分かった。
中国、大きく遅れ
産業用ロボットのコアコンポーネンツはコントローラ、サーボモータ、減速機であり、作業精度、負荷、耐用年数、安定性、信頼性などの産業用ロボットの特性を大きく左右する。これらは産業用ロボットのコストの約70%を占め、そのうち減速機が35%、サーボモーターが20%、コントローラが15%となっている。
このうち減速機は、サーボモーターとアクチュエーターを接続する中間装置として、サーボモーターが高速回転する際に発生する動力から、入力軸のピニオンと出力軸のギアホイールがかみ合うことで、入力軸のピニオンを介して大きなトルクを与え、産業用ロボットを減速させる。産業用ロボットには精度、負荷、耐用年数などの面で優れた減速機が求められており、基幹部品の中でも、最も技術的に難易度が高いとされる。
減速機はハーモニックタイプとRVタイプに分類され、ハーモニック減速機は高い運動精度、大きなギア比、軽量、小さなサイズ、低い伝達慣性のメリットを備え、負荷の小さいロボットや、大きなロボットの前腕、手首、手などの軽負荷の場面で採用されている。
材料、設備、工程などの製造リンクに対する要求が厳しい精密減速機は、投資のしきい値も高く、技術的な課題も多く、参入するには非常に難易度が高い市場と言われる。そのため産業用ロボット減速機市場は、ナブテスコとハーモニック・ドライブ・システムズを始めとする日本企業が独占してきた。
ナブテスコは、精密減速機、油圧機器、新エネルギー機器などのコンポーネントソリューション、トランスポートソリューション、アクセシビリティソリューション、その他の4つの事業を展開している。精密減速機は高精度・高い信頼性・高い安定性のV-Nシリーズ、RV-Cシリーズ、RV-Eシリーズを中心に展開。生産拠点は日本の津工場と中国の常州市にあり、約120万台の生産能力を有している。19年の世界シェアは約58%で、中・重負荷産業用ロボット用RV減速機の分野では90%以上のシェアを獲得している。
ハーモニック・ドライブ・システムズは、ハーモニックドライブと特殊ドライブ技術の研究開発、設計、製造、販売を世界で最も早くから行っている専門企業の一つで、世界最大のハーモニック減速機サプライヤー。ロボットやCNC工作機械、航空宇宙、印刷機械から医療機器、測定・分析機器、精密包装機械など幅広い用途で採用され、市場のほぼ50%を占めている。
2019年は中国で合計15万1000台の産業用ロボットが販売され、減速機は45万7000台必要とされた。これは前年より2.5%の増加で、32万4000台が増分需要で、13万3000台が在庫交換だった。その70%は日本企業が占めた。
減速機市場における中国メーカーは、耐用年数、信頼性、安定性、騒音、熱などの製品の主要な要素で大きく遅れており、中国国内市場でもシェアは30%にとどまっている。
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