儲かるメーカー 改善の急所 101項 (11)

■急所11
訓練の重要さ

習うより慣れろ。

 

皆さんのなかに最近、何かのことで上達するために練習するといったことをされた方はいらっしゃいますか? 私の同年代(アラセブ?)の友人の中にもゴルフのスコアを上げるために(70歳になって!)新しいフォームを身に付けようと練習したり、英会話の上達のために発音練習したり、音楽の発表会に向けて楽器の練習をされている方がけっこうたくさんいらっしゃいます。

私は心身統一合氣道という武道を習っています。頑張っているつもりですが、思うように体は動いてくれず、若い先生にしごかれながら反復練習をして、少しずつ上達をしています。理論的には分かっているのですが、頭と体は別なので、後は練習しかありません。

このように趣味の分野では、練習をしてうまくなるというチャレンジはよく行われています。ところが仕事になるときちんと目標を決めて、それのレベル達成を目指して練習するという光景をあまり見かけません。ある程度までできるようになったら、その後は個人の判断任せになっていることが多いように思います。

簡単な作業はもちろんですが、もっと高度なことでも、会社内のすべての仕事は「習うより慣れろ」が必要です。仕事は頭で覚えただけではうまくいきません。理論理屈だけでは実践で使えず、体を動かしての訓練で得られる「慣れ」があって初めて理論が生きてきます。作業は高いレベルに到達するまで徹底して訓練しましょう。

正しい手順で行っていても、それでも不良が出ることはあります。しかしここで重要なことは、不良やクレームが発生した時に理由を探したり分析したりするのは後回しにして、間髪を入れずに現場に飛んでいくことです。そしてこれも「習うより慣れろ」であるということです。これは理論理屈では出てこない判断ですがとても重要な動きです。

 

日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

 

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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