国内生産1.4兆円
日本電機工業会(JEMA)がまとめた重電機器の2020年度上期(4-9月)国内生産実績は1兆4127億円で、前年同期比87.2%(2082億減)となった。
電力分野向け機器は、電力供給インフラ(発電・送配電)の更新による設備投資は景気の先行きが不透明なことから抑制され、また製造業向けの産業用汎用機器も国内製造業の設備投資抑制を受けて低調となっている。
発電用原動機は、蒸気タービンが144.5%と大きく伸長したものの、ボイラ、ガスタービンが低調で同81.3%にとどまった。回転電気機械は、交流発電機(95.8%)、サーボモータ(95.0%)は90%台を確保したが、全体では同85.4%に、静止電気機械器具も、リアクトルが唯一113.3%となり、避雷装置(98.2%)、変圧器(94.1%)、無停電電源装置(93.0%)も前年同期小幅な減少で推移したが、汎用インバータ(83.8%)、サーボアンプ(72.8%)、電気炉(77.2%)などが大きく減少したことが影響した。
開閉制御装置・開閉機器は、高圧開閉器(103.7%)、保護継電器(101.6%)が100%を超えたが、PLC(プログラマブルコントローラ)(87.3%)をはじめ、他の品目が80~90%台となり、全体では、同90.1%となっている。
下期(10-3月)は、電力・エネルギー分野は、「エネルギー供給強靱化法」が20年6月に国会で成立し、「第6次エネルギー基本計画」も10月から議論が開始されたことから、発電所向けの機器はこのような背景の影響を受けるものと推測。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による景気悪化もしばらく続くものと見込まれ、設備投資の回復はしばらく時間が掛かるとして、重電機器全体の下期生産も前年同期を下回ると見通し。
なお、白物家電機器を合わせた電気機器全体の上期国内生産は同89.5%の2兆4043億円となっている。