物流も高い需要
サービスロボットの世界市場が拡大している。国際ロボット連盟(IFR)によると、プロが使う業務用サービスロボット(プロフェッショナルサービスロボット)の19年の売上高は、世界全体で32%増加して112億ドルとなった。新型コロナウイルスのパンデミックは、消毒ロボットや、工場や倉庫での物流ロボット、宅配用ロボットへの高い需要によって市場拡大をさらに後押しするとしている。
プロが使う業務用サービスロボットの売上高では、医療用ロボットがトップ。前年比28%増の53億ドルとなり、業務用サービスロボットの総売上高の47%を占めた。2022年までに今の2倍以上となる113億ドルになる見込み。医療用ロボットの約90%はアメリカとヨーロッパメーカーによるものとなっている。
物流ロボットの販売額とリースによる売上高は110%増の19億ドル。そのほとんどが屋内用で、自律移動ロボットははじめは倉庫で使われていたが、製造業のデジタル化によってスマートファクトリーの一部としても拡大している。これらの背景と投資回収が速いことから、年間40%以上の大きな伸長が見込まれている。
農業や酪農、畜産などその他のフィールドロボティクスは、3%増加して13億ドルに成長。新型コロナウイルスによる労働者の旅行制限は農業従事者の供給不足を引き起こし、それを農業ロボットが補完し、30%以上の増加可能性があるとしている。
ロボット掃除機や床掃除ロボット、芝刈りロボット、娯楽ロボットなど個人や家庭向けサービスロボットの出荷台数は、34%増加して2320万台を突破。売上高も20%増の57億ドルとなった。近年はロボット掃除機と玩具ロボットの単価が下落し、基本的なロボット掃除機はすでに100ドル未満で購入できる。家庭用サービスロボットが最も盛んなのはアメリカで、約75%のシェア。アジア企業のシェアは19%、ヨーロッパ企業のシェアは6%だった。
介護やリハビリなど高齢者や障害者のための支援ロボットは、17%増の9100万ドルとなった。