儲かるメーカー 改善の急所 101項 (13)

■急所13
絶対に行ってはいけない改善

安全が損なわれることと、お客さまに不利益になる改善は、絶対に行ってはならない。

 

今回から二章に入ります。現場改善の基本の章です。どうぞよろしくお願いします。

改善(カイゼン)は『善く改める』と書きます。悪くするのではなく善くするのですから、やった方がいいに決まっています。でしたら絶対に行ってはいけない改善があるというのはおかしくありませんか? こう思われた方もいらっしゃると思います。

「こうしたら楽になる」とか「ひと手間減らせる」という改善は大変に良い改善です。しかし仕事の中にムリやムダを発見して取り去った改善であればいいのですが、「落下制止用ベルトを装着するとちょっと締まって苦しいので、ベルトをやめたら楽になった」とか「時々しか不良は出ないので、これまでやっていた検査を全数から抜き取りに変えたら手間が減った」と言われたらどうですか?

さすがにこれは改善とは言わない、と反論されそうですね。そうです、これは改善ではありません。

なぜこれが改善ではないかというと、改善は安全で品質が良いことを前提にして行われるものであるからです。安全は前提であり、品質は第一です。それらの前提や順番を無視して自分にとって楽になるというのは改善ではないということです。

万が一、事故を起こしたら作業者と会社の未来がなくなるかもしれません。また品質や納期を含めてお客さまに少しでも不利益になるとしたらそれは改善ではなく単なる省略であり、むしろ改悪であると考えましょう。

 

日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

 

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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