新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中で設備投資を控える動きが出て、20年上期の機械産業は大きな打撃を受けた。
それでも下期になって中国市場の復活等で持ち直す動きが出てきた。光が見えてきたが、感染拡大は続いており、予断を許さない状況だ。
半導体製造装置は好調
内閣府の機械受注統計調査報告2020年10-12月見通しによると、2020年の機械メーカーの受注は、第1四半期(1-3月)は6兆8962億円で前期比3.9%増だったが、第2四半期(4-6月)に17.7%減の5兆6787億円と大幅減少し、第3四半期(7-9月)に7.8%増の6兆1212億円で推移した。世界・国内の新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言が出された第2四半期が底で、そこから回復基調に戻ってきたが、第4四半期(10-12月)一転して5兆8144億円の7.8%減で、前年同期比でも6.7%減少となる見込みだが、底の状態までは至らない見通しだ。
機種別では、工作機械は苦境から持ち直しの兆しも。日本工作機械工業会の統計によると、20年第1四半期(1-3月)は2354億円(35.6%減)、第2四半期(4-6月)は1745億円(44.8%減)と大幅な減少が続いていたが、下期に入って中国市場を中心に回復傾向を見せ、第3四半期は2218億円(23.2%減)となった。最新の10月は822億円(6%減)で、2カ月連続の800億円超えで前年の9割まで戻してきている。
ボイラ・原動機や化学機械、ポンプ、射出成形機、運搬機械等の産業機械は、製造業向けは苦戦しているが官公需が好調。日本産業機械工業会の統計では、受注総額は第1四半期が1兆4808億円(3.7%減)、第2四半期が9459億円(2.4%増)、第3四半期が1兆1698億円(5.5%減)で、1月から9月までの累計で2.3%減に踏みとどまっている。製造業向けは化学、鉄鋼、はん用・生産用、自動車等の減少で前年比15〜20%減と厳しい時期が続いたが、9月単体では0.3%増と健闘した。
自動化の担い手として需要が期待される産業用ロボットも厳しい状態が続く。日本ロボット工業会によると、第1四半期は1718億円で前年を上回ったが、第2四半期にブレーキが掛かり1599億円にとどまった。第3四半期は持ち直して前年を上回る1715億円となっている。需要の多くを占める中国市場が18年下期から低調が続いていたが、20年に入って好調だった17年・18年上期と同レベルに戻ってきていることが大きい。
厳しい機械産業のなかで唯一の例外が半導体製造装置。日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、世界半導体製造装置の販売高は、20年第3四半期(7-9月)販売高は前年同期比30%増の194億ドル。前期比でも16%増となり、四半期の販売高の最高記録を更新し、コロナ禍でも半導体市場の設備投資は好調。
日本製半導体製造装置も7月は1879億円(22.6%増)、8月は1884億円(17.3%増)、9月は1959億円(10%増)と順調で、最新の10月も1823億円(0.9%増)と続いている。日本製FPD製造装置は前年の好調を受けて今年は厳しい年となっているが、7月は234億円(46.1%減)、8月は255億円(43.7%減)、9月は297億円(29.2%減)、10月は357億円(18.9%減)と少しずつ回復の兆しを見せている。