先日「ロボットとデジタルといった先進技術をフル活用して遊ぼう」という、ちょっとしたお遊び企画に参加してきた。
主催はソニーインタラクティブエンターテインメント(SIE)とデンソー、チームクロスFA。企画は、デンソーの産業用ロボットをベースに、チームクロスFAの一員でロボットSIでもあるJSSが構築したロボットシステムで、SIEのキューブ型ロボットtoioを使ったボードゲームを遊んでしまおうというもの。
プレイヤーは遠隔地で指示を出し、カードめくりやコマを動かす作業はロボットにおまかせ。コロナ禍で密を避けなければならない、いろいろとストレスがたまるこんな時だからこそ、バカバカしいことを真剣にやって楽しもうというコンセプトだそうだ。
プレイヤーとは別に、現場にはゲームとロボットシステムを担当するSIEとJSSの若手メンバーが詰めていた。かたやSIEはゲーム・デジタルエンターテインメントの会社だけあってカジュアルな服装でゲームの進行を注視し、一方のJSSはメーカーらしく、そろいの作業着に作業帽子に身を包み、ロボットの動きや現場の安全を監視。
ロボットを使って無人でゲームを楽しむと言いながら、裏では人が支えているという本末転倒さはお遊び企画ならではだった。それでも得意分野や領域が異なる若手技術者が、お互いの技術を持ち寄って楽しそうに企画に参加している姿はとても印象的だった。
自分の技術が生かせる場があると、こんなに若者はイキイキとするのだとあらためて感心した。
製造業界は、技術領域が広く、情報は日々アップデートする。どれだけ深堀りしても新しく知りたいことが出てきて、知的好奇心を喜ばせてくれる。自らの技術や知識、経験を生かせる場所がたくさんあり、多くの人を受け入れる土壌がある。製造業はそんなフィールドだ。
人手不足と硬直化が日本製造業の課題と言われて久しい。それを打ち破るためにももっと多くの若者の力が必要だが、彼らが入ってこない、定着しないのは、そこに「楽しさ」がなく、彼らを生かせていないからに他ならない。
「人は石垣、人は城」とよく言うが、未来を作り、長く支えるのは若者だ。彼らを生かし、次の世代にバトンを渡すのが年長者の役目。製造業DXも大切だが、まずは若者を生かす、彼らが楽しんで活躍できる場づくりを真剣に考えなければいけない。