儲かるメーカー 改善の急所 101項 (14)

■急所14
キレイな職場とは

要るものしかない職場をキレイな職場という。

 

今、この文章をお読みくださっている皆さまが使っている机の引き出しの中に、全く同じ黒の新品のボールペンが3本入っていたとしてください。さて、ここで皆さまに質問です。

「皆さん、ご自分のボールペンは何本必要ですか?」

一番多い回答は1本でしょう。両手で文字は書きませんから1本あれば十分ですね。次に多いのは2本でしょうか。一本分のスペアがあった方が便利という考え方でしょう。次が3本か0本になります。3本とも自分で使うからとか、鉛筆は使うけれどボールペンは使わないからといった理由でしょうね…。

さて、こうなるとそれぞれの方にとって、要るボールペンの数は0本から3本まで4通りの答えがあるということになります。人によって使い方も考え方も違いますのでこれが正解という答えはありません。

 

さてここで整理整頓の整理の話をします。整理の定義としてよくあるのが「要るモノと要らないモノを分けて、要らないモノを捨てること」なのですが、このボールペンの場合、要る本数は何本で、要らない本数は何本でしょうか? この答えは人によってばらつきますね。これではみんなでキチンとした整理をするのは困難です。それぞれの人がバラバラな判断をするからです。

このように人によって違う答えが出るような指示をすると5Sのような全社活動はうまくいきません。誰もがそうだと思える分かりやすい指示が欲しいです。

そこで私は5S実行の場合、「要る・要らない」ではなく、「使う・使わない」で分ける基準を決めています。多くの場合はひと月以内に使う・使わないで分けますし、すごくレベルが高い職場では今使う・使わないで分けることもあります。

いずれにしてもすぐ使うモノ以外何もない職場はキレイで、誰が見てもすっきりとして使いやすいことは間違いありません。その見方であらためて現場を見てみてください。カイゼンのヒントが見つかるかもしれません。

 

日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

 

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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