電子情報技術産業協会(JEITA)とIDCJapanは、「2020年日米企業のDXに関する調査」の結果を発表した。
日米企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み状況は「実施している」と回答した企業が20%で米国は28%となった。一方で、取り組んでいない、知らない、分からないが日本企業33%、米国では3%となり、DXが浸透している米国と、二極化して遅れが目立つ日本の姿が明らかになった。
対外環境の把握に投資する米国と業務改善が主の日本
同調査は、2013年から行っているIT利用に関する調査の最新調査で、今回はDXに焦点をあて、民間企業の情報システム部門以外に在籍しているマネージャーおよび経営幹部を対象に、日本と米国それぞれ約300社のアンケート結果をまとめたものとなる。
結果サマリーとして、IT予算は日米ともに増加傾向がみられるが、その理由は米国企業が市場や顧客の変化の把握などである一方、日本企業は働き方改革や業務効率化など。米国企業の多くが外部環境把握にIT予算を投じているのに対して、日本企業はいまだIT予算の大半が社内の業務改善に振り分けられている。
DXの取り組み状況は、全社・部門レベルを合わせると米国企業は約3割、日本企業は約2割が実践中。2017年に比べて日本企業は大きく伸びたが、一方で半数近くが情報収集中や取り組みをしていない状況であり、未着手の企業が多いのが現状となっている。
経営層が積極的に関与するDXと薄い日本
またDXに経営層がどれだけ関与しているかについては、米国企業は半数以上で経営層がDXの戦略策定や実行に自ら関与している一方、日本企業は4割に満たず、積極的な関与や関心の薄さが際立った。
DXの実施目的は、米国企業は新規事業および自社の取り組みの外販化などの事業拡大にあるのに対し、日本企業は業務オペレーションの改善や変革といった既存業務の収益改善にある傾向が見られた。
コロナでもDXを進める米国と戸惑う日本
また新型コロナウイルス感染拡大がDXにどう影響を与えたかについては、日本企業は予算や体制を拡大したところと取り組みがストップしたところが同程度だった一方で、米国企業は予算や体制を拡大したとの回答が3割を超えた。ポストコロナ禍については、日本企業が働き方改革に対する意識が強いのに対し、米国企業は業務自動化やデータ活用の拡大などDXに直結する未来を予測している。
まとめとして、日本企業においてDXを全社戦略の一環として取り組んでいる企業は、経営層のDXへの関与や適用業務の多様性といった点で、米国企業と似た傾向にある。日本企業はいま一度、DXの目的を経営視点で捉え直し、ニューノーマルも見据えて、経営トップが自ら関与してビジネス変革をリードしていくことが求められるとした。