先日Youtubeで、昭和の懐かしい家電として「電気餅つき機」の動画を見た。もち米を蒸すところからはじまり、蒸し上がったもち米にブルブル振動を与えて徐々に米が粘り気のある餅になっていき、最終的には機械のなかでモチモチの白い物体がブルンブルンと暴れまわるという内容だ。
昭和生まれとしてノスタルジックな映像で、毎年の大みそかには家でやっていたなーと思い出にふけってしまった。
餅はもちろん、おせち料理の多くも昔は手作りだった。黒豆を煮たり、お煮しめやきんぴらごぼうを作ったり。家庭で作らずに買ったものは、だて巻きや栗きんとん、昆布巻き、数の子など。それが今やおせち料理はスーパーでほとんどのものが買え、予約注文でお重に入った状態のものも購入できる。
各家庭でオリジナルで作ることは少なくなり、作る手間は大きく減って効率化された。だからといって年末年始が幸せでなくなった、楽しくなくなったかと言えばまったくそんなことはない。逆に出来合いの既製品をうまく使うことで、これまで作っていた人も余暇を楽しむ時間ができ、家族団らんの時間も増えた。逆に幸せになったのではないかと思う。
今は既製品もたくさん種類があり、簡単に手に入る。昔は手に入りにくかったから自宅で作っていただけと考えることもできる。「家族で楽しい年末年始」という目標を達するために、既製品を上手に使う。これは有効な手段だ。
最近、日本の製造業でも「標準化」の風が強くなり、「人手不足解消や生産性向上のためには標準化しないといけない」なんて声をよく聞くようになった。
これまでは、熟練技術者の現場ルール、自社のオリジナルルール、日本独自のルールがあり、どのレイヤーでも基準や標準を統合せず、独立独歩で行うことが良しとされてきた。昔はそれをやる時間も人もリソースもあったが、しかし今はもうそんな余裕はない。最短距離で目標を達することを考えなければいけない時代だ。
幸いなことに日本の製造業は、機器もソフトウエアもユニット化やテンプレート化が進み、自前で設計して作らなくても簡単に手に入る環境が整備されてきている。いわば「おいしいできあいの料理」がたくさん並んでいる状況だ。それらを上手に使えば効率化でき、アレンジを加えればもっと美味しくもできる。目的に向けて、割り切りができるかどうかがポイントだ。