■急所17
モノの積み方
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目線より高くモノを積むな。
モノがやたらに高く積み上っていて向こうが見えない工場と、そのような視線をさえぎるモノがなくて反対側までがスキっと見通せる工場、もしお客さまが工場においでになったとしたらどちらの工場をより好ましいと思うでしょうか?
間違いなく後者の工場でしょう。目の前がモノでさえぎられて見えないということからくる圧迫感は嫌だし、何よりも地震が起きたら危ないと感じるようでしたら一時も早く工場から出たいと思われてしまいます。
当たり前のことですが、目線より高くモノが積まれるとモノが人の身長より高くなるので、反対側より奥にあるモノはそこまでいかないと見ることができません。もし地震が起きて倒れてきたら下敷きになってしまうし、移動させるにも高く積んだままだと危ないので結局分けて運ぶという手間が増えます。
そして何よりも働いている人同士で顔が見えないと意思疎通が悪くなってしまいます。これはとてもまずい…。
狭くて置き場所が無いのだから高く積むのは仕方がないと思って納得してしまったらおしまいです。そもそもモノが高く積み上っているということは、部品在庫、中間在庫、材料在庫、それ以外のモノがそれだけ滞留している証拠です。そこに問題があると考えてください。
「滞留」という現象は一人では解決できません。モノの買い方が早すぎないか?多すぎないか? 生産するロットサイズが大きすぎないか?小さくできないか? モノの運搬のタイミングと量が合っているか? 材料の品種を統合して減らせないか? ここには製造部門はもちろんですが、設計、営業、調達、技術、管理など多くの部門がかかわることになります。
皆で在庫を減らして向こうが見える工場にしてお客さまを驚かせてくださいね。よろしくお願いします。
日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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