IDECは、市販のタブレットに、非常停止用押ボタンスイッチとイネーブルスイッチを装着することができるセーフティコマンダ「HT3P 形」を、1月29日(金)からグローバルで発売する。
近年生産現場においては、機械設備の操作パネルや操作用ペンダントの代わりに、市販のタブレットが使用されることが多くなっている。タブレットは解像度の高さや、操作性の良さ、カメラやWIFI など様々な機能を備えており、汎用性や入手性も良いことから、制御用途以外にも生産現場の多様なシーンで導入が進んでいる。
しかし ISO/IEC の安全規格の観点から、操作機器を機械の危険源の近くで使用する場合は、機械をすぐに止めることができるよう、非常停止用押ボタンスイッチやイネーブルスイッチなどの安全機器を搭載することが求められており、安全対応が操作機器としてのタブレット導入の障壁となっていた。
今回発売する HT3P 形は、安全規格において求められる安全機器をタブレットに簡単に搭載できる製品で、伸縮式ドッキング構造の採用により、画面サイズ 8~11 インチ、厚さ~24mm(*1)までの幅広いサイズのタブレットに対応しており、厚みのある堅牢タブレットにも取り付けが可能。
またグリップ部が回転するため、縦・横どちらでも使用でき、緊急操作が必要な非常停止用押ボタンスイッチは、操作しやすい位置に配置できる。
人間工学に基づいたグリップ構造とイネーブルスイッチ配置により、利き手を問わない持ちやすさと操作性を実現。市販されているさまざまなタブレットに、安全機器を取り付け可能な製品は市場にほとんどないため、HT3P 形を導入することで、生産ラインや装置の制御、ロボットのティーチングなどにタブレットを活用することが可能となり、安全性、利便性の向上やコスト削減に貢献する。
*1:標準は 10mm まで対応、11~24mm は厚さ調整用のオプションパーツ使用時です。
主な特長
さまざまなサイズのタブレットに対応
・伸縮性ドッキング構造により、画面サイズ 8~11 インチ、厚さ 24 mm まで(*1)の幅広いサイズのタブレットに対応
高い堅牢性と耐環境性
・不意の落下や持ち運び時の衝撃を想定した落下試験をクリアし、落下耐性 1.2m の堅牢性を有する(*2)
*2:タブレット重量 1.1kg までを確認したもの。同製品及びタブレットの落下保護を保証するものではありません
・ IP54 保護構造により、水のひまつ、塵やホコリの環境下でも使用することができる
安全性・操作性・利便性の向上
・回転式で人間工学に基づいたグリップ構造により、縦・横どちらでも使用でき、利き手を問わない操作性を実現
・人間工学に基づく危険回避のための、OFF⇒ON⇒OFF の 3 ポジション動作(*3)を可能とする、3 ポジションイネーブルスイッチを搭載し、作業中の危険リスクを低減
*3:3 ポジションイネーブルスイッチを操作する際は ON になっており、スイッチから手を放すか、強く押し込んだ際には OFF になる
・LED インジケータ付の非常停止用押ボタンスイッチを搭載することで、非常停止用押ボタンスイッチの有効無効状態を視覚的に表示することが可能
・キーロック機能により、不用意なタブレットの取り外しを防止
・USB 充電用ポートの搭載により、タブレットを充電しながら使用することができ、バッテリー切れの心配が不要
現場における課題の解決事例
ロボット・AGVのティーチング
ユーザーが独自でティーチングペンダントなどを開発した場合、開発費、製造コスト、納期、部品の廃止対応などの課題が発生するが、タブレットと HT3P 形により導入コストを低減できる
操作盤のタッチパネルレス化
生産現場では、複数の操作盤にタッチパネルを設置しているケースが多いものの、使用頻度が低いため非効率だったが、着脱可能なタブレットと HT3P形の導入により、1 台で複数の現場での運用が可能となる。
導入済みのタブレットに安全性をプラスして制御にも利用
工程管理などで既に導入されているタブレットを制御にも流用する場合、安全性が課題となっていたが、HT3P 形を使うことでタブレットを安全に使用できる。
使用シーンの事例
ロボットのティーチング、AGV などのマニュアル制御、自動車生産ラインや搬送ラインの制御、工事現場で使用するタブレットに安全をプラス、大型装置などの操作制御、半導体製造装置などの制御、機械式立体駐車場のメンテナンス、など。
参考:販売目標
2023 年度までの 3 年間で、累計 5 億円(グローバル)
参考:標準価格
オープン価格