数えるな、形にして見よ。
材料を投入する、生産したモノを容器に移す、完成品を検査する、といった作業を観察していると、「数を数える」という場面に頻繁に出会います。出荷の直前になって数が合わないとか、最終確認とかいって複数の人たちが慌てた様子で何度も数えなおしているということも珍しくありません。
「数を数える」ということは日常生活中にも頻繁にあることです。私は数を数えることがあまり得意でなく、ちゃんと数えて用意したはずのお土産が渡す段になって一個足りない…といったことがときどき起きます。いや、頻繁に起きています。
しかしこれは私だけのことでなく、人間は数を数えるのが得意ではないと思います。ひと目で見て数を判断できるのは5つまでだと聞いたことがあります。10を超える数を正確に数えようとするととたんに難しくなります。仕事では数を正確に数える機会が多いのですが、得意でないことを間違えないように緊張して続けるのは大変です。
そこで今週の言葉の「数えるな、形にして見よ」を使いましょう。毎回、10個の部品が必要なら10の仕切りがある箱を用意して、その仕切りにすべて入れれば9個でも11個でもない、10個ぴったりの数が数えないででき上ります。箱を積むにも、決まった置き方と順番を決めておけば、形を見ただけで何箱かが分かります。
一般的に工場の品質不具合の統計を見ると、品質そのものの不具合よりも、異品混入とか数量間違いといった残念な不具合が非常に多いものです。繰り返しの仕事は、緊張しないですむ楽で安全な仕事のやり方に改善しましょう。
日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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