コロナ禍で広がったリモートワークやオンライン活用。時間をかけて特定の場所に行かなければならないという空間と時間を超越し、業務効率化に大きく貢献している。はじめはオンライン会議やオンライン営業が主だったが、最近は製造現場の業務領域に対してもオンライン活用が広がっている。
オンライン活用でメーカー技術とユーザーの距離が接近
当初「BtoBの製造業にはオンライン営業は適さない」と後ろ向きの声があったが、今では普通に受け入れられ、オンライン営業と対面営業のメリットを活かした使い分けが盛んに行われている。
製造業におけるオンライン営業の利点としてよく言われるのが、メーカーの技術者との距離が近くなったという評判。以前はユーザーがメーカーの技術部門と直接話す機会は同行や展示会などに限られていたが、現在はオンライン会議でメーカー技術者が容易に同席できるようになった。営業担当者が技術者に同席を依頼するケースも多く、ユーザーとメーカー技術者から評価は上々だ。
広がるオンラインテスト、工場見学
一方で、オンライン活用は他の業務にも波及している。最近増えてきたのがオンラインでのテスト。顧客から事前にワークを送ってもらい、そのテストをオンライン会議で行う。顧客はパラメータ設定や見たいポイントの指示など、リアルのデモよりも細かな指示や質問をしなければならなかったり、すべてが画面越しになってしまうデメリットはありつつも、ニューノーマルなテストの形として広がり始めている。
オンライン工場見学も新しいオンライン活用のひとつ。カメラとマイクを持った工場スタッフが一般的な工場見学さながらに見学ツアーを行い、一部では、取引開始時や定期的な工場監査をオンラインで行う企業も出てきている。例えばOKIはEMS事業でユーザー向けの工場見学と技術検討会などの提供を開始している。
技術承継にもオンライン活用を
さらに、その次のオンライン活用として期待されるのがオンライン技術研修だ。熟練者の技術承継をオンラインで進めていく取り組みで、日本国内はもちろん、海外拠点での必要性が高まっている。経済産業省は、日系メーカーの海外拠点におけるローカル人材の技術力向上が日本のサプライチェーンを強固にするとし、海外産業人材の育成強化を掲げている。コロナ禍で人材の行き来が難しくなるなかで、オンライン技術研修を強力に推進していこうとしている。