アルファTKG(東京都中央区、高木俊郎社長)は、「板金IoT・DX実証加工センター」を、神奈川県厚木市に3月3日オープンした。ニューノーマル時代の新しい製造業の姿『NNF(ニューノーマル工場)の実現』を目指している同センターには、多品種少量生産で中小製造業が中核を支える日本のものづくりの飛躍につながるヒントが隠されている。とりわけ、多品種少量生産の典型として成長が期待されている精密板金業界にとっても実証加工を通じながらソリューションを探せる頼りになる拠点の誕生だ。
レガシーを活かす「ハイブリッドエンジン」
「NNF(ニューノーマル工場)」という言葉は、同社が提唱しているお客様の未来工場の概念で、同社が登録商標している。NNFは特に、中小製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に焦点を当てている。アナログ/人間を「差別化エンジン」に、デジタル/最先端ソリューションを「成長エンジン」にした『ハイブリッドエンジン』によって、精密板金工場の未来への成長を推進していく姿を示している。
精密板金製造業は、多品種少量生産の代表的業種で、現場ノウハウを差別化して発展してきた。とりわけ加工前の段取りとフィードバックに膨大な時間がかかり、生産性向上の大きな阻害要因になっている。受注後の図面検索や材料選択などは特に大変な作業で、これを支えてきたのがQCD(品質・価格・納期)活動であり、人間(熟練工)である。ここ数十年で、NCマシン、CAD/CAMや生産管理システムなどのデジタル機器がレガシー資産として工場で稼働しているが、NNFはこのレガシーを活かしながら、新たなイノベーションであるAI、RPAと協働ロボットを駆使して人間(熟練工)支援する。これによって、板金工場がデジタル変革したIoT・DX化の実現に容易につながるアプローチ方法が明確化し、レガシーの拡張にもつながってくる。
同センターでは精密板金業界の生産性向上を阻害する要因を排除するために、実証加工を含めた5つのZONEを設置。特に大きな阻害になっている段取りとフィードバック作業の削減にポイント置き、「人(熟練工)と協働する自動化」の実現を訴求している。
板金IoT・DX実証加工センターを支える5つのZONE
【ZONE1】
〈NNFを実現する新商品の実証提案〉
板金IoT・DXを進める主力商品が第3世代としてバージョンアップし新登場した。
ロボ図面管理/デジタル5Sの「alfaDOCK」は、AIによる類似品検索機能などで図面管理管理のAIレベルを大幅に向上させるとともに、業界初の顔認証(AI)機能が付いた「電脳KIOSK」を標準搭載。製造現場での図面閲覧や「工程NAVI」による工程の見える化を提案する。
ロボ3D-CADの「alfaCAD」は、AIを駆使し、二次元図面から三次元図面を自動生成できる「オートパイロット機能」をはじめ、展開図の正誤を自動検証する展開図検証機能を標準で搭載している。
ロボ生産管理・工程管理の「alfaERP」では、標準パッケージとして「スマホDXシリーズ(見積DX、購買DX、在庫DX)」を提供している。
また、NNF新システムとして「電脳MAMORU-X100」と「電脳KIOSK NNF100」を発売した。
「電脳MAMORU-X100」は、21.5インチモニターに高性能コンパクトPC、Wi-Fiアンテナ、AI顔認証・検温センサー、消毒液ユニット(自動)を一体化。工場・事務所
社員の安全と作業履歴・生産管理記録を統合して使える。
「電脳KIOSK NNF100」は、製造現場や各工程に設置する現場端末で、NNFの非対面モデルを画面から実証できる。23.6のタッチモニタ(WEBカメラ付)、または43Vモニタに、コンパクトPC、IoTユニット、温度・湿度・埃センサー、Wi-Fiアンテナ、QRリーダー、キーボード、ヘッドフォン、ペンなどを装備。
AI顔認証機能、オンラインミーティング機能をはじめ、
人IoT(作業実績解析)や図面お絵かき(alfaMEMO)などに対応したソフトウエアを搭載している。
【ZONE2】
世界初〈3Dプリンター工房(3Dプリンターによる溶接治具製造の実証加工)〉
同社が2019年に3Dプリンターによる金型製造システムを実現してから、溶接治具も3Dプリンターで作りたいというニーズが増加したため、世界中から溶接治具製造に適した3Dプリンター7台を設置した。
設置したのは、シンシナティ(SAMM、SAAM-HT)2台、Markfoged(X7)2台、Raise(3DPro Plus)2台、Raise(3D E2)1台の計7台。これに同社独自の新商品でalfaCADを搭載した溶接ジグ設計ソフトの「GAIA溶接DX」、および新商品で3Dプリンターの稼働と状態監視を行うプリンターKIOSKソフト「GAIA溶接ジグKIOSK」を連携し、オーダーメイドの溶接治具製造システムを可能にした。
多品種少量生産を扱う板金工場の自動化を大きく進展させる。
【ZONE3】
世界初〈溶接DX(3Dプリンターで製造した治具を使い、人と協働溶接ロボットの実証加工)〉
溶接工程の自動化が求められるなかで普及が進まない理由に、治具製造に費用と時間がかかり、また、ソフトとハードが連携していないことがあげられる。
ユニバーサルロボットの協働溶接ロボット(OR10e)とダイヘンの溶接電源(WB-P350)に、同社の新商品であるalfaCADを搭載して3D CADデータ上に溶接箇所の定義(自動/手動)ができる溶接DXソフト「GAIA溶接DX」、および新商品の溶接現場に設置し、ロボットと連携しながら溶接作業支援する溶接KIOSKソフト「GAIA溶接KIOSK」と使用して次世代の溶接自動化システムの提案と実証を行う。
【ZONE4】
世界初〈検査DX(検査DXソフトと三次元測定機との連携実証〉
キーエンス製三次元測定機(XM—T1200C)を活用した検査工程のイノベーションを提案。まだ紙図面が主流の板金業界で、三次元測定機と同社の新商品である検査DXソフト「GAIA検査DX」、および検査KIOSKソフト「GAIA検査KIOSK」を連携した世界初の検査イノベーションの提案と実証を行う。
「GAIA検査DX」はalfaCADを搭載し、3D CADデータ上に検査箇所の定義(手動/自動)が可能。
「GAIA検査KIOSK」は、検査現場に設置する検査用端末で、キーエンス製三次元測定機やMARUI標準ノギス・ハイトゲージと連携し、検査成績書を自動作成する。
【ZONE5】
〈エンジニアリングDX(プログラムサービス&サポートセンター)
板金業界に精通したエンジニアが常駐し、お客様への提案と導入後のサポートや、お客様のエンジニアを支援する受託作業などを行う。また、図面リネームや3D図面作成、展開図面作成などのプログラムサービスも提供するほか、AIを活用し、エンジニアの作業を支援する実証実験も行う。
板金IoT・DX実証加工センターを支える3つの独自技術
板金IoT・DX実証センターは、同社が実現に取り組んでいるNNFを支える板金業界向けの3つの独自開発技術がベースになっている。
RPAソフトロボット「図面RPA(ZumenRPA)」
図面の整理・整頓、および情報の紐付を自動で行い(デジタル5S)、標準搭載した「alfaDOCK」で、レガシーデータを収集し自動解析できる。
また、CAD/CAM属性付で自動連携する。さらに、事務所やプログラム室での単純なコンピュータ操作も自動化。
GAIA AI(人工知能)「図面AI(ZumenAI)」
図面の類似品を自動検索でき、オートパイロット3D機能により、DXFから自動立体化・自動展開図作成を従来の5分の1の時間で実現できる。
また、PDFからDXFトレースのAI支援(オートパイロット2D)も可能。1000人までの顔認証(クラウドAI)
が可能で、電脳MAMORU、電脳KIOSKに標準搭載している。
Hyper Link接続ソケット
12までの異なるレガシーシステムとハイパーリンクできる。バラバラで単独のサイロ化したレガシーをすべてクラウドで一元管理が可能。また、すべてのソリューションをリンクし、紐付けできるなどの最先端な技術になっている。
ソフトウエアとハードウエアの連携を体感
板金IoT・DX実証加工センターは、単なるショールームではなく、ソフトウエアとハードウエアの連携を体感で実証できる場であり、お客様からの意見を聞き、問題解決をともに考える場という意味で『実証加工』と名付けている。実証加工を通じて、お客様といっしょになってソリューションの成果を検証・共有し、生産性向上、利益拡大を目指していくことが大きな目的でもある。
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【板金IoT・DX実証加工センターの概要】
住所:神奈川県厚木市岡田5-17-1
営業時間:午前10時~午後5時
来場予約:電話0120—980—907
【株式会社アルファTKG 会社概要】
本社:東京都中央区日本橋本町4-1-13-701
電話03-3527-9026
テクニカルセンター:東京都中央区日本橋本町4-8-17-802
横浜営業所:神奈川県横浜市港北区新横浜1-17-8-301
厚木営業所:神奈川県厚木市岡田5-17-1
開発センター:インド(CHENNAI)
IoT R&Dセンター:インド(Bangalore)