コロナ禍で業績にマイナス影響
製造業は生産プロセスの可視化と分析、収益モデルの見直しが必要
経営コンサルティングのタナベ経営は、製造業をはじめとする全国の企業経営者・経営幹部1718人を対象とした「企業経営に関するアンケート」の結果を発表した。それによると、約半数以上の企業が今季の業績面でマイナス影響を受け、製造業は60%がマイナス着地。来期の業績予想は36%が増収増益を見込んでいる。
2020年度の業績見通しは、「減収減益」(35.2%)が最も多く、次いで「前期なみ」(20.2%)、「増収増益」(19.7%)と続いた。前年と比べると減収減益が2倍になり、増収増益は6.7ポイント減少。「減収増益」「減収減益」「赤字」を含めると全体の54.9%となり、半数以上の企業が業績へのマイナスの影響を受けている状況だった。
20年度の製造業企業は減収減益、赤字回答が44%に
業界別に見ると、製造業は全体よりも厳しく、「減収減益」が38.1%、「前期なみ」が20.9%、「増収増益」が15.9%、それとほぼ同率で「減収増益」が15.5%となった。「減収減益」と「赤字」への回答率も高く、44.5%に達した。
最も厳しいは卸売業。52.3%が「減収減益」と「赤字」。小売業は42.1%だった。サービス業は「赤字」回答が10.4%に達し、全業種で最も高く、唯一のふた桁。同社では、外出自粛等でのニーズ低下による業績悪化と指摘している。
2021年度見通し 反転攻勢へ
2021年度の見通しは、「増収増益」(36.9%)が最も多く、20年度から17.2ポイント増加。「減収減益」は20.9ポイント減少。全体として回復する見通しで、マイナス影響は今期の約3分の1という結果となった。同社は、コロナ禍のマイナスインパクトは対策の目処がつき、「反転攻勢を利益につなげる」動きが進んでいる状況がうかがえるとまとめている。
製造業はDX、デジタル化の推進が肝に
来期の製造業の重点課題について同社は、「人ありきの改善で本質的な生産性改革に踏み切れていない」状況があり、これからの方向性として「利益獲得体質化に向けた収益モデルの見直しとデジタル活用も含めた生産プロセス改革」が必要であるとし、製造業企業には「生産プロセスの原価データ分析と可視化による付加価値業務の洗い出し」に着手すべきとしている。