私は心身統一合氣道という武道を習っています。自分では師範のおっしゃる通りに身体を使っているつもりですが、どうもできていないようです。特に腰の使い方などは、改めてきちんと教わってその通りにやってみるとビックリするくらいに技にキレが出ます。ゴルフでも腰の使い方で飛距離が大きく伸びた経験をされている方も多いことでしょう。
武道はもちろん、スポーツでもへっぴり腰ではうまくならないし、勝てるようになりません。プロとアマチュアの違いは腰の入り方だと聞いたこともあります。
モノづくりでも全く同じことがいえると思います。現場を歩いていて作業者の様子を見てみると、どんな作業であっても後ろ姿だけで熟練度がかなり分かるということがあるのです。
一流の作業者はあらゆる動作において必ず腰が入った姿勢を取っているものです。ネジを締めたりバリを取ったりといったちょっとした作業であっても、上手な人は決して手だけの作業ではなくしっかりと腰を入れて仕事をしているものです。
当たり前のことですが、腰が入っていないで、腰をかがめたり逆に反り返った姿勢で仕事を続けていれば、余計に疲れるし微妙な力の入れ方も難しくなるのです。作業の習熟で腰が入るようになればそれが一番いいのですが、足を踏ん張りやすくできる作業台の導入などで誰でもが自然に腰が入るような作業状況を作ることも大切だと考えます。
あるいは上手な人の作業の様子をビデオで録って、それをまだ上手になっていない人のビデオと比較して理解を早めることなどもぜひやって頂きたい腰の入れ方の上達法です。
日本カイゼンプロジェクト 会長 柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011〜2016)、静岡大学客員教授 著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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