現場で実に良い改善のアイデアが出て、「さあやろう!」という時に、間髪を入れずに「それっぽっちの効果では意味がない、もっと別の方法があるのではないか」とか、「継続できるかどうかが分からないのに、果たして実行していいものか…」といった、その場の勢いを削ぐ声が上がることがあります。代案があるのなら議論になりますが、無いのです。即ち典型的な評論家の意見です。
現場改善の最大の敵は評論家です。世の中には意見を言うことで満足し誇らしげにしている人がいるのですが、実行を伴わない意見や理屈は何の役にも立ちません。
現場改善の良いところは、すぐ実行すればその場で結果が分かることです。もし上手くいかないと分かったら元に戻せばいいし、たとえ失敗しても、その過程で次はどうすればいいかは分かるものです。世の中、やってみなければ分からないことばかり、すなわち、やればすぐ分かることばかりです。良くも悪くも想定外のことが起きたりもするので、成功の前例がなければ足がすくむものです。だからこそ実際に実行した人はアイデアだけの人より100倍の価値があるのです。
私はいつも現場改善にいちばん必要なモノは「チエと筋肉」だと言っています。思いついた改善アイデアは即実行することです。みんなでワイワイガヤガヤとおしゃべりをしながらまずは筋肉を使って改善を始めれば、いろいろなチエが次々と出て、始める前の心配がいかに取り越し苦労であったかが分かることを私はたくさん経験しています。
改善とは? すぐやること! どうぞ頑張ってください、いつも応援しています。
■著者プロフィール
柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。