HMSインダストリアルネットワークは、毎年発表している「産業用ネットワーク市場シェア動向」について、2021年版を公開した。2021年の産業用ネットワーク市場はコロナ禍のなかでも6%の成長が見込まれ、産業用Ethernetとワイヤレスのシェアが増加する見通しとなっている。
産業用Ethernet65%へ拡大。フィールドバス28%に減少
同社はスウェーデンに本社がある産業用ネットワーク・通信機器メーカーで、産業用ネットワークの新規設置されたノードについて調査した結果を「産業用ネットワーク市場シェア動向」としてまとめ発表している。
20年の産業用ネットワークの新規設置ノードにおける市場シェアは、産業用Ethernetが64%から65%へと微増する一方、フィールドバスは30%から28%と2ポイント低下。ワイヤレスは6%から7%となった。ネットワーク別では、PROFINETが18%でトップ。それを1ポイント差の17%でEtherNet/IPが競っている状況。次いでPROFIBUSとEtherCATが8%で続いている。
産業用Ethernetトップは僅差でPROFINET。2位はEthernet/IP
産業用Ethernetの普及は続き、21年も8%成長の見込みで、全体に占めるシェアは65%まで拡大。EtherNet/IPとPROFINET がトップを争っており、今回はPROFINETが僅差で1位。2位がEtherNet/IP、EtherCATが3位。5%でModbus-TCPが続き、同系のフィールドバスModbus RTU と合わせて Modbusテクノロジーが市場の10%を占め、工場設備では依然として世界的に重要視されている。さらにPOWERLINK、CC-Link IE Fueldと続く。
フィールドバストップはPROFIBUS
フィールドバスは減少傾向が続いていたが、2021年は1ポイントマイナスにとどまり、28%となる見込み。フィールドバスのトップは8%のPROFIBUSで、5%のModbus RTU、4%のCC-Linkが続く。
ワイヤレスは急成長 シェア7%も拡大は確実
ワイヤレスは24%の成長率で急速に拡大し、現時点ではシェア7%だが、ゆくゆくは5G活用で可能性は広がり、省配線で柔軟に設置できるワイヤレス機器の需要が高まると見られている。
アジアは混戦模様 CC-Link/CC-Link IE Field、EtherCATも健闘
地域別では、欧州や中東では EtherNet/IPとPROFINET がリードし、PROFIBUSとEtherCAT が続く。またModbus(RTU/TCP)と Ethernet POWERLINKも採用されている。アメリカではEtherNet/IP が優勢だが、EtherCATも一定のシェアを獲得している。
アジアは細分化されていて、PROFINETとEtherNet/IPがリードしているが、CC-Link/CC-Link IE Field、PROFIBUS、EtherCAT、Modbus(RTU/TCP)も追っている。