改善に必要なことは、自発的な量とスピードと継続性である。
「改善」とは、読んで字のごとく、「善く改める」ということです。もっと簡単にいうと物事をよくしていくことです。悪くするということではありませんから、やった方がいいに決まっています。どんどん実行しましょう!こう言うと当たり前過ぎですね。
しかしこれをしっかりやり続けているところは必ずしも多くはありません。そこで今回はその当たり前のことに対して当たり前の考え方をお話ししたいと思います。
まず改善をするアイデアが必要です。改善案が少なければよくなる個所は当然少なくなります。案があっても、実行でモタモタしていたら効果はなかなか出ません。もし改善活動が一過性のものであったら、せっかく実行した改善もアッという間に元に戻ってしまうでしょう。
改善には量とスピードと継続性の3つが必要なのです。
たとえ小さな改善でも一人がひと月に1件実行したら、一年間では12件の改善になります。そしてもし会社に50人の人がいて全員が同じことをやったら年間に置き直すと600件にもなります。一見取るに足らないような小さな小さな改善であっても、膨大な積み重ねによって会社は大きく変わっていくのです。そして強い会社ほど、この積み重ねを10年、20年、30年…と続けているのです。
全社をあげて、進んで改善が実行される仕組みになっているでしょうか、進んですぐに実施される仕組みになっているでしょうか、進んで継続していく仕組みになっているでしょうか、…。
強い会社には必ずこの3点が揃っているのです。
■著者プロフィール
柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。