5/26.27に行われるオンラインイベント・制御盤DXメッセの講演のなかで、制御盤内のスプリング接続式の端子台などへの配線作業の様子を「田植えのようだ」と評したのは富士電機機器制御だったか。
フェルール端子を指でつまんで、穴の中へグイッと押し込む。奥までいくとカチッとハマって結線完了の配線作業と、稲苗の根に近いところを指でつまみ、泥の中にググッと押し込む田植えの動き。言われてみれば、これらの動きは確かにソックリ。よくそんなところに気づいたなと思う一方、ホイッホイッとリズミカルに簡単かつスピーディーに作業が進められる光景が目に浮かび、スプリング接続方式のメリットが良く分かる表現だと感心してしまった。
田植えの進化を振り返ると、水たまりのような場所に種籾を直播きしたところを出発点とし、畔で区画を決めたのが第1の進化、直播きから稲苗を植えるようしたのが第2の進化、さらに手作業で稲苗を植えていたところに田植え機が誕生して半自動化したのが第3の進化。そして今、自動運転の田植え機が登場して第4の進化を遂げ、ついに田植えの自動化まで到達している。区画整理された田んぼ、より歩留まり高く成長しやすく、田植えがしやすい稲苗化、機械を使った半自動化。いわば田植え作業を少しずつ「標準化」してきた結果、自動化が可能になった。
田植えと制御盤の配線作業の共通点は、作業時の動きが似ているだけではない。差し込みやすく加工したものを決められた区画の特定の場所に挿入する。その本質がまったく同じことも一緒だ。であるならば、いま手作業で行っている制御盤の配線作業だって田植えのように自動化ができるのは間違いない。実際に最先端の制御盤メーカーの工場では配線作業を自動化しているところもあり、自動配線システムも実現されている。制御盤の配線作業の自動化は、現実の未来として近づいている。
制御盤の設計と製造、運用を効率化し、より多くの案件を捌けるようにして今以上の利益を上げられる仕組みを作る。これが「制御盤業界のDX」だ。制御盤の配線作業の自動化もまさにその一つ。実現までの道のりは見えている。5月26・27日のオンラインイベント・制御盤DXメッセでは、制御盤業界の志士たちが、そうした作業の自動化をはじめ、制御盤メーカーの未来と儲け方について色々とヒントを話してくれる。私も企画と運営に携わった立場として、当初の想定以上に充実した内容になり、自信を持ってお届けできるものになっている。ぜひ参加して意見を寄せて欲しい。