工場内のあらゆる場所に住所を付けよ。
私が友人の「川上さん」に連絡を取りたいと思ったとします。スマホの電話帳で「川上さん」を探してその場所をポチすれば電話がかかります。あるいは同じくスマホ内のメールアドレスリストの中の「川上さん」を探せばその場でメールを書いて送ることができます。住所録で「川上さん」の住所を見て手紙を出すかもしれません。
スマホ1つですべてがどこでも実行できるすごい時代です。とても便利ですね。ただこのような便利な生活ができる大元の理由は、私が電話帳やアドレスリスト、そして住所録をスマホのきちんと決まった場所に作って置いていて、必要な時にすぐ取り出せるように整頓していたからです。もしスマホを持っていなくて、手掛かりが「川上さん」だけであったら大混乱になるでしょう。
さて、同じことを工場内のモノに置き換えて考えてみましょう。工場内には材料、部品、工具とたくさんのモノがありますが、漠然と置かれていることが多いものです。そして一回きれいに並べてもすぐに散らかってしまうことも多いようです。ナゼでしょう?その最大の理由は置き場所が決められていないことにあります。
先ず置き場所を決めましょう。そして次にその場所に住所を付けてください。そうしておけば、今日初めて現場に来たパートタイマーの方に必要なモノを取って来ていただくことが可能です。「3丁目2番4号の場所にあるモノ」と言えば間違いなく伝わるからです。この表示は例えば「手前から3番目の棚の上から2段目の左から4番目の置き場にあるモノ」ということです。
それが清掃であっても、電球の交換であっても、住所があれば正確に特定できるし、不良が出た時でもすぐに駆けつけられますね。
皆さんの職場の住所は分かりやすいですか?新しく来た方が工場内でウロウロしないでパッとモノが取れるようになっているか、チェックをお願いします。
■著者プロフィール
柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。