2021年度「ものづくり白書」が公開された。21回目となる今回は、コロナ禍で激変した製造業に対し、「レジリエンス」(サプライチェーン強靭化)、「グリーン」(カーボンニュートラル)、「デジタル」の3つの観点から現状を分析した。
ものづくり白書は2部構成で、第1部で日本の製造業の現状と課題、第2部では製造業向けの国の施策を紹介。第1部は、経済産業省による現状の分析となる「我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」、第2章が厚生労働省による「ものづくり人材の確保と育成」、第3章が文部科学省による教育と研究開発に向けた「ものづくりの基盤を支える教育・研究開発」となっている。
国内製造業の業績はコロナ禍の影響を受けて売上高・営業利益ともに減少傾向にあり、今後3年間も厳しく不透明な状況が続き、設備投資も抑えられる見通し。白書ではニューノーマルに生き残るためのポイントとして「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」の3要素を挙げて分析している。
レジリエンスではサプライチェーン強靭化をテーマとし、サプライチェーンの可視化や物流の効率化、全方位型のBCP策定、半導体や蓄電池等のマテリアル分野の強化と国内生産基盤の強化する必要性を説いている。
グリーンでは、2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指し、国がグリーン成長戦略を策定。2兆円のグリーンイノベーション基金や研究開発税制などによって、企業の挑戦を積極的に後押ししていくとしている。
デジタルでは、DXの取り組みの深化が必要としながらも、現状もDXは未着手や一部にとどまっていると分析。DXを進めるには経営ビジョンや戦略の策定による方向付けや、IT環境の構築・活用など、部門横断的な取組が必要とし、さらに技術承継へのリモート活用や、バリューチェーンと各工程の役割の把握、5Gはじめ無線の活用、セキュリティ強化も不可欠な要素として挙げている。
ものづくり白書は下記よりダウンロードできる。
https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210528002/20210528002-3.pdf