いろいろな現場で品質不良の統計を見る機会があるのですが、本当に品質そのものが不良であったということだけでなく、選別しておいた不良品を間違って出荷してしまったとか、あるいは発生したゴミが製品に付いたまま送ってしまったといった、実にもったいないケースも多いものです。場合によってはそのようなことが上位を占めていることもあります。
なぜそのようなもったいないことが起きるのでしょうか?その最大の原因は発生した不良品を確実に隔離してしまう赤箱や出たゴミをその場で捨てるゴミ箱が作業者の身近にないため、後で処理しようとその場に仮置きしたことによるのです。
遠くの場所にいちいち捨てに行ったのでは仕事になりませんから、後でまとめて捨てようと思うのは当然でしょう。近くにないなら自分で用意するべきだろう!といって、これを作業者の問題にしてはいけません。これは会社の問題です。
そこで改めて皆さんで現場をチェックしてみて下さい。意外と作業現場ごとにゴミ箱が設置されていないことに気付くかもしれません。例えば組立セルがあったとすれば、セルごとにゴミ箱か赤箱がなければいけません。
ゴミ箱が遠ければ、ゴミを拾うのも掃除をするのも少しずつ面倒になります。それが全社で積もれば汚い工場になり製品の品質も確実に下がります。不良を減らして環境をきれいに保つための第一歩はすべての作業現場ごとにゴミ箱を配置することです。
早速に現場をチェックしてみましょう!
■著者プロフィール
柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。