三菱電機と大阪大学、スペクトロニクスは、次世代のレーザー加工装置として、高速に微細加工できる「高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置」の試作機を開発した。
波長266ナノメートルの深紫外でパルス幅がピコ秒の短パルスレーザーを、平均出力50Wで照射することにより、加工時間を10分の1に短縮できるほか、これまで近赤外レーザーでは加工が難しかったガラスなどの透明材料や樹脂、溶融温度が異なる樹脂とガラス材で構成される複合材料などの難加工材料などの高速微細加工を実現する。
高出力化で発生するレーザービームの歪みを抑制した 300Wの基本波レーザー光源と、高出力での発熱密度を低減する大型波長変換素子に必要となる世界最大級(重量 1.5kg)の高品質深紫外レーザー発生用結晶を開発し、それらを組み合わせることでこれまでの10 倍となる平均出力50Wの深紫外レーザー光源を実現し、加工時間を10分の1に短縮。
加えて、加工光学系のレンズをミラーに置き換えた「低歪み反射型加工光学系」を開発し、レーザービームの歪みをこれまでの15 分の1におさえ、直径最小4ミクロンの精密加工を可能とした。
さらに半導体レーザーのゲインスイッチパルスを種光源とし、ファイバー増幅器とバルク増幅器を組み合わせた複数段の増幅器により出力を増大するハイブリッド MOPA方式ピコ秒パルスレーザー光源により加工に応じた自在なパルス発生が可能となっている。
三菱電機が高出力増幅器と加工光学系の設計、大阪大学レーザー科学研究所が深紫外レーザー発生用結晶を開発、スペクトロニクスがレーザー光源の開発を担っている。