日本半導体製造装置協会(SEAJ、牛田一雄会長)は、2021年度から23年度までの3年間の日本製半導体製造装置の需要予測を発表した。半導体製造装置は2021年度から23年度まで順調な成長を続け、2022年度に3兆円を突破する見込み。FPD製造装置も3年連続での伸びと予測している。
半導体とFPDの需要について、半導体はコロナ禍にあってもスマートフォンやPC、テレビ、ゲームなどコンシューマ製品の需要が堅調。5GやテレワークによるIT機器、産業機器のIoT化も進んで需要が拡大。自動車もEVが加速し、需要は旺盛となっている。
WSTSによると2021年の世界半導体市場成長率は19.7%と高い伸びを示し、22年も8.8%増で2年連続で最高記録を更新する見込み。設備投資はロジック・ファウンドリーの積極投資が継続し、22年以降も大規模計画がある。メモリも高水準の投資が見込まれている。
FPDは、コロナかでPCやタブレット、モニタ用パネルに加え、テレビ用パネルも逼迫。価格が上昇しているため稼働率が優先し、新ラインへの計画は先送りになっている。設備投資は2021年度は微増、22・23年度は新技術の登場タイミングがきている。
これを受けて半導体・FPD製造装置の需要は、2021年度は半導体製造装置が22.5%増、FPD製造装置は1.3%増、全体で19.1%増の3兆3900億円となる見通し。2022年度もFPDの伸びは緩やかだが、半導体は5.1%増と引続き成長を維持し、全体で4.7%増の3兆5500億円で3兆円の大台を突破する見込み。2023年度はさらに拡大して、全体で4.8%増の3兆7200億円と予測している。
半導体産業を取り巻く環境の変化 牛田会長コメント
ここ1年ほどで半導体不足を懸念する声が大きくなり、実際に自動車や各種産業機器の生産にも影響が出ている。それを受けて政府が半導体産業の保護・支援に乗り出すなど、半導体を取り巻く業界は急速に動き出した。現在の半導体産業を取り巻く状況をどう捉えるべきか?
牛田一雄会長によると「これまで半導体投資の主役はPCやスマホだったが、5G、AIとIoTクラウドそれから車載などが牽引役となり、重層的に全体が広がってきている。そこにコロナの影響が加わり、リモートワークのためのIT機器や高性能テレビなどの需要が増え、さらに5Gスマホも普及が拡大していることから、半導体とFPDパネルが供給不足となり工場がフル稼働になっている。結局コロナの影響もあり、半導体不足が大きな社会問題に発展した。
これは世界各国で同じ問題が起こっている。それを各国がサプライチェーンの強化に乗り出し、いろいろ予算をつけて最先端工場建設に必要なレベルの大規模支援を発表している。
日本についても同じことが起き、日本政府が国家戦略として半導体戦略を策定し、また半導体戦略推進議員連盟も設立されたことで、メディアを通して半導体が一般広く報道されて、半導体の認知度が非常に高まった。これまでは半導体は一般には馴染みが薄い存在で、特に若い方に対してもインパクトが弱い感じがあったが、皆さんに知ってもらう良い機会になった。これまでも半導体の重要性これ訴えて訴え続けてきて、今回の政府の国家支援も含めて非常に嬉しいことだと感謝している。
世の中でワクチン接種も進展し、景気回復の兆しも見えてきたなかで、アフターコロナの時代に突入すると言ってもコロナの中で芽生えたオンラインとかリモートでの活動が止まることはない。これらには半導体とFPDの進化が必須となる。その実現に向けてSEAJは全力で取り組んでいく」としている。