皆さんの会社で、「お客様に対する間違いを防ぐために、出荷前にダブルチェックをしています!」 ということはありませんか?
アッ、決してダブルチェックが悪いことだというのではありませんから、安心して読み続けてくださいね。
しかし、ちょっと考えて頂きたいダブルチェックは確かにあります。例えば100個の部品を出荷する時に、ちゃんと100個かどうか? 99個でもないし101個でもないということを保証するために、まず一人の人が100個と数えたモノを、もう一人の人が再度数えて、二人ともが100個であれば「合っている」とするチェック方法です。
この場合、もし二人目の人が数えたところ99個だったとしたら、どうしますか?どちらかの人が数え間違えているということですので、もう一回数えることになります。そして改めて数えて100個であればそれでいいし、99個であったらあと1個足して100個にすることになりますね。一見、二重チェックのようですが、同じ方法で2度行っても精度は上らないしムダが多いですね。いくらでも時間をかけてよくて、コストは考えませんということならいいのですが、ずっとこれでは競争に勝てないこと、間違いありません。
ではどうすればいいか? 答は「間違いなく100個を数えられる方法」を考えて、その方法をきちんと実行するのです。例えば、100個分のマスでできた100個をひと目で確認できる「見える化治具」を作ってそこに入れるとか、100個分の重さを測れる重量計を使うとか、といったやり方を考えます。
そして最初と中間と最後にその治具が正しいかとか、重量が合っているかといったダブルチェックをするといったことはいかがでしょうか。
チェックは付加価値を生みませんから、なしで済ませられることが一番いいのです。それを2回も3回もやってはいけません。
■著者プロフィール
柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所 所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0 – スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など
一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。